【感染症】ウイルスのエンベロープと消毒薬

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エンベロープはウイルスの表面を覆う脂質の膜のことです。

 

ウイルスは、宿主細胞で増殖して細胞から出てきます。

エンベロープは、ほとんどの場合、ウイルスが宿主細胞から出てくるときに、宿主細胞の細胞膜を被ったまま出てくることで獲得します。

 

ウイルスにはエンベロープを持つものと持たないものがあり、消毒薬の効果に違いがあります。

 



 

エンベロープウイルス

エンベロープをもつウイルスをエンベロープウイルスと呼びます。

エンベロープという脂質の膜で覆われています。

 

エンベロープウイルスは、消毒薬が効きやすいウイルスです。

消毒薬によって、エンベロープが壊されることで失活します。

アルコール、次亜塩素酸ナトリウムによる不活化が期待できます。
ただし、ベンザルコニウム塩化物による消毒は効果が不十分とされています。

 

代表的なエンベロープウイルス

エンベロープウイルスには以下のものがあります。

・インフルエンザウイルス
・RSウイルス
・パラインフルエンザウイルス
・コロナウイルス
・単純ヘルペスウイルス
・水痘-帯状疱疹ウイルス
・麻しんウイルス
・風しんウイルス
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

 

エンベロープウイルスの消毒

エンベロープを壊せば失活するため、様々な種類の消毒薬が有効です。
2%グルタラールなどによる高水準消毒のほかに、熱水消毒、次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、ポビドンヨードが有効です。

 

 



 

ノンエンベロープウイルス

エンベロープをもたないウイルスをノンエンベロープウイルスと呼びます。

 

ノンエンベロープウイルスは、脂質の膜を持たないため、消毒薬が効きにくいウイルスです。

 

例外として、アデノウイルス、ロタウイルスなどはノンエンベロープウイルスですが、消毒薬が効きやすいウイルスです。

 

代表的なノンエンベロープウイルス

ノンエンベロープウイルスには以下のものがあります。

・ライノウイルス
・ノロウイルス
・アストロウイルス
・A型肝炎ウイルス
・E型肝炎ウイルス
・エンテロウイルス(ポリオウイルス・エコーウイルス・コクサッキーウイルスなど)
・ロタウイルス
・アデノウイルス

 

ノンエンベロープウイルスの消毒

ノンエンベロープウイルスは消毒薬が効きにくいですが、個々のウイルスについて有効な消毒薬の報告があります。

例えばノロウイルスについては、ヒトノロウイルスの近縁ウイルスであるマウスノロウイルスを用いた消毒薬感受性が報告されていることから、アルコールによる消毒が有効と考えられています。

 

アデノウイルス、ロタウイルスはエンベロープを有しないものの、ウイルス自体が脂溶性であるため、アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨードが有効です。

 

 



 

 

まとめ

エンベロープはウイルスの表面を覆う脂質の膜のことです。

エンベロープウイルスは、消毒薬が効きやすいウイルスです。

ノンエンベロープウイルスは、消毒薬が効きにくいウイルスです。

 

 

参考資料:対象微生物による消毒薬の選択(ヨシダ製薬)