オテズラ錠は乾癬の治療薬です。
効能効果は、「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬と関節症性乾癬」となっています。
乾癬は炎症を引き起こす物質が多くなることで発症します。
オテズラは、乾癬の炎症の原因となる物質を減らす効果があります。
この記事では、オテズラ錠の作用機序と副作用などの注意点についてまとめます。
乾癬とは
乾癬は、「炎症性の皮疹やかゆみを伴う全身性の疾患」と定義されます。体内の免疫バランスが崩れることによって起こると考えられています。免疫バランスの異常によって、皮膚の代謝が健康な人と比べて約10分は速くなっていることがわかっています。
乾癬は、尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、滴状乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に分類されます。オテズラ錠は、この中でも尋常性乾癬と乾癬性関節炎(関節症性乾癬)に使用されます。
乾癬についてはこちらをご覧ください↓
https://kusuri-info.work/archives/4509
乾癬患者の免疫細胞
乾癬の発症には、ホスホジエステラーゼ4(PDE4) という酵素が関係していると考えられています。ホスホジエステラーゼ4(PDE4)は、サイクリック AMP(cAMP) をAMPに分解する酵素です。つまり、PDE4にはcAMPを壊す働きがあります。
免疫細胞や表皮組織でPDE4が働きすぎると、cAMPが減ってしまいますcAMPが減ると、炎症を引き起こす物質が多く放出されることがわかっています。つまり、PDE4が働きすぎると、炎症を引き起こす物質が増えます。炎症を引き起こす物質のことをまとめて、炎症性メディエーターといいます。炎症性メディエーターが増えることが、乾癬の発症に関係していると考えられています。
オテズラの作用
オテズラは、ホスホジエステラーゼ4(PDE4) 阻害剤です。PDE4という酵素の働きを邪魔して、cAMPが壊されないようにします。すると、免疫細胞の中でcAMPの量が減らなくなります。それにより、炎症性メディエーターが放出されにくくなります。こうして炎症性メディエーターが減ることで、炎症が抑えられます。
オテズラの用法
オテズラは急激に服用量を増やすと、吐き気や下痢などを引き起こすことがあります。そのため少しずつ増量していきます。オテズラは、1日10mgから始めて、6日間かけて増量していきます。6日目以降は、1回30mgを1日2回、朝夕に服用します。
注意点
腎機能
オテズラは腎機能が低下すると血中濃度が上昇します。そのため重度の腎機能障害がある場合は、副作用に注意が必要です。
感染症
ウイルス、細菌、真菌などによる感染症があらわれることがあります。服用中は感染症の兆候が見られないかチェックしていく必要があります。
消化器症状
副作用として下痢、腹部不快感、軟便、悪心等の消化器症状が報告されています。
まとめ
・オテズラ錠は、乾癬のうち局所療法で効果不十分な尋常性乾癬と関節症性乾癬の治療薬です。
・乾癬の発症には、免疫細胞や表皮組織でPDE4が働きすぎることで、cAMPが減ってしまうことが関係しています。cAMPが減ると、炎症を引き起こす物質が多く放出されます。
・オテズラの作用機序は、PDE4という酵素の働きを邪魔して、cAMPが壊されないようにします。それにより、炎症性メディエーターが放出されにくくなり、炎症が抑えられます。
参考資料:オテズラインタビューフォーム、添付文書