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【認知症】メリスロンは記憶回復に効果がある?

この記事は約3分で読めます。

めまい治療薬のメリスロンが記憶回復に効果があるという最新研究があります。

報道では以下の解説となっています。

この薬は脳内の情報伝達に関わる「ヒスタミン」という物質の放出を促進する働きがある。この効果で記憶を担う神経細胞が活性化し、忘れた記憶の回復につながったとみている。

産経ニュース


メリスロンの薬効成分はベタヒスチンといういいます。
この記事ではベタヒスチンについて解説していきます。

 

ベタヒスチンの薬理作用

ベタヒスチンは内耳の血流量を増やすことにより、めまいを改善します。
また、脳内では後シナプス性ヒスタミンH1受容体を作動し、前シナプス性ヒスタミンH3受容体は阻害します。



ベタヒスチンはヒスタミンH1受容体を活性化する

H1受容体は脳内の神経伝達に関与しています。
ベタヒスチンはこの神経伝達を活性化します。
H1受容体に対してヒスタミンのような作用をします。

ベタヒスチンは、H1受容体に作用することにより、神経伝達を活性化します。

 

 

抗ヒスタミン薬はH1受容体を阻害する

(この部分はメリスロンの話ではありません。)

H1受容体に関連する点として、抗ヒスタミン薬について触れておきます。

抗ヒスタミン薬はベタヒスチンの反対の作用をする薬で、H1受容体を阻害します。
抗ヒスタミン薬は、花粉症などのアレルギー治療薬としてよく用いられます。
脳ではなく抹消のH1受容体を遮断することで、抗アレルギー作用を発揮します。

そして、抗ヒスタミン薬が血流に乗って脳内に入ると、脳内のH1受容体を阻害します。
これが抗ヒスタミン薬の副作用の眠気に関係しています。
脳内に移行した抗ヒスタミン薬がH1受容体を阻害することで、鎮静作用が発現するのです。これが、抗ヒスタミン薬を服用した時に副作用として現れる眠気です。

この作用を応用して、睡眠改善薬として使用される抗ヒスタミン薬もあります。
ドリエルなど市販の睡眠改善薬がこれに該当します。
ドリエルの成分ジフェンヒドラミンはもともとは抗アレルギー薬として使用されてきた、抗ヒスタミン薬です。
眠気の副作用を利用して、睡眠改善薬として販売されています。



ベタヒスチンはヒスタミンH3受容体を阻害する

脳内のH3受容体はヒスタミンの合成と遊離を調節しています。

H3受容体を阻害することで、ヒスタミンの遊離が促進されると考えられます。
つまり、ヒスタミンの量が増え、神経伝達が促進されます。

ベタヒスチンはH3受容体を阻害することでヒスタミンを増やして、神経伝達を活性化します。
これが、ベタヒスチンの記憶回復効果に関係している可能性があります。



注意が必要

メリスロンは処方せん医薬品で、医師の処方が必要な医薬品です。
そして、めまい治療薬として使用されています。
自己判断で、記憶回復目的に使用することは厳禁です。

 

 

まとめ

メリスロンは、脳内でヒスタミンのような働きをして、神経伝達を促進します。
また、脳内のヒスタミンの遊離を促進する働きがあります。
ヒスタミンが遊離することにより、神経伝達が促進されることが記憶回復に関係すると推測されます。
この研究が、認知症の新たな治療法につながる可能性があります。