セレキノンの作用機序ー市販薬のセレキノンSとの違いは?

この記事は約5分で読めます。

セレキノンは、胃腸の働きを整える薬として使われてきた処方箋薬です。

最近では、「セレキノンS」としてドラッグストアで購入できる市販薬になっています。

医療用では「セレキノン」、市販薬としては「セレキノンS」という名前です。

この記事では、セレキノンとセレキノンSの違いについて解説します。

作用機序についても、図を使って詳しく解説します。

 

セレキノンとセレキノンSの違い

中身は全く同じで、成分名はトリメブチンマレイン酸塩と言います。どちらも1錠にトリメブチンマレイン酸塩を100g配合しています。

違いは効能効果です。セレキノンの効能効果は、「慢性胃炎における消化器症状(腹部疼痛、悪心、噯気、腹部膨満感)、過敏性腸症候群」です。セレキノンSの効能効果は、「過敏性腸症候群に伴う下痢や便秘など」です。(一度医師の診断を受けた場合に限ります。)

セレキノンは慢性胃炎と過敏性腸症候群に使えますが、セレキノンSは過敏性腸症候群にしか使えません。中身は同じですが、市販薬には縛りがあります。

 



 

過敏性腸症候群(IBS)とは

ここからは、過敏性腸症候群について解説します。過敏性腸症候群とは簡単に言うと、悪いところがないのにお腹の調子が悪いという病気です。

過敏性腸症候群は、IBS(irritable bowel syndrome)と呼ばれます。検査を行っても、炎症や潰瘍などの異常が見られないにもかかわらず、腹痛等の消化器症状があらわれます。便秘がおもな症状の場合と、下痢がおもな症状の場合などがあります。便秘型、下痢型、混合型、分類不能型があります。

 



 

セレキノンの作用

セレキノンの作用は簡単に言うと、腸の動きが活発なときには抑えて、腸の動きが鈍いときには動かすという作用です。その時々で、反対の作用をする薬です。そのため、便秘がメインの症状でも、下痢がメインの症状でも効果を発揮します。

 

作用機序をさらに詳しく解説

ここからは、さらに詳しく解説していきます。

繰り返しになりますが、セレキノンの成分トリメブチンは、消化管運動が活発な時には抑制し消化管運動が低下している時には活発化するという二面的な作用があります。消化管の筋肉(平滑筋)に直接働きかける作用と、自律神経に働きかける作用があります。

 

 

平滑筋に対する作用

消化管の筋肉(平滑筋)にあるKチャネルCaチャネルに作用します。

 

消化管運動を抑制する

トリメブチンは、消化管の運動が活発になっているときには、平滑筋の細胞に作用して消化管の運動を抑えます。

細胞にあるCaチャネルの働きを邪魔して、消化管の運動を抑えます。Caチャネルは、細胞にカルシウムが入る入口です。カルシウムが細胞に入ると細胞は興奮して、筋肉が収縮します。トリメブチンはCaチャンネルをふさいで、カルシウムが細胞に入る量を減らし、細胞の興奮を抑えることで、消化管の運動を抑えます。

 



 

消化管の運動活発化

消化管の運動が低下しているときには、平滑筋の細胞に作用して消化管の運動を活発化します。

細胞にあるKチャネルの働きを邪魔します。Kチャネルは、Caチャネルとは反対の働きで、細胞からカリウムが外に出る出口です。カリウムの出口がふさがれると、細胞の興奮は高まります。トリメブチンはKチャネルをふさぐことで、細胞の興奮が高め消化管の運動を活発化します。

 

 

自律神経に対する作用

トリメブチンは自律神経にある、オピオイドμ受容体オピオイドκ受容体などにも作用します。

 

消化管運動を抑制する

消化管の運動が活発になっているときには、副交感神経にあるオピオイドμ受容体とκ受容体に作用します。するとアセチルコリンの遊離が抑制され、副交感神経の働きが抑えられます。アセチルコリンは消化管運動促進する働きがあります。

トリメブチンの作用によりアセチルコリンの量が減り、消化管運動は抑制されることになります。

 

 

消化管運動を活発化する

消化管の運動が低下しているときには、交感神経にあるオピオイドμ受容体に作用して、ノルアドレナリンの遊離を抑制し、交感神経の働きを抑えます。その結果、副交感神経からのアセチルコリンの遊離が増加します。アセチルコリンの量が増えることによって、消化管運動が活発化します。

 

まとめ

・セレキノンは胃炎と過敏性腸症候群に、セレキノンSは過敏性腸症候群のみに使用できます。

・腸の動きが活発なときには抑えて、腸の動きが鈍いときには動かすという作用があります。

・消化管運動が活発な時には抑制し、消化管運動が低下している時には活発化するという二面的な作用があります。

 

参考資料:セレキノンインタビューフォーム、添付文書