感染症

マクロライド系抗菌薬の少量長期投与とは

2019年9月10日

クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬は、通常よりも少量で長期間処方される場合があります。
この場合は、薬の抗菌作用ではなく抗炎症作用など抗菌作用以外の作用を期待して処方されます。
この記事では、マクロライド系抗菌薬の作用とマクロライド療法についてまとめます。

 

マクロライド系抗菌薬の抗菌作用

細菌はリボソームという器官でタンパク質をつくっています。それによって細菌は、細菌自身の生命を維持し、増殖しています。
マクロライド系抗菌薬は、細菌のリボソームの50Sサブユニットという部分とくっついて、タンパク質をつくるのを邪魔します。それにより、細菌の増殖を抑えます。

 

 

マクロライド系抗菌薬のその他の作用



マクロライド系抗菌薬には、抗菌作用以外の作用(非抗菌作用)があることが分かっています。

 

抗炎症作用

その一つが抗炎症作用です。免疫細胞によって炎症を引き起こす物質や活性酸素がつくられるのを邪魔する作用があります。

 

気道上皮での作用

気道での粘液分泌や水分の分泌を抑えます。また線毛の運動を活発にすることが分かっています。

 

各種病原体への作用

その他に、各病原体に対してさまざまな作用があることが分かっています。ある病原菌に対しては、菌が毒素をつくるのを抑えたり、菌が細胞にくっつのを邪魔して感染を抑えます。また、ウイルスに感染した時に体は抗体をつくってウイルスを除去しようとしますが、マクロライド系抗菌薬が抗体産生を促進することが分かっています。

 

 

マクロライド療法



このような抗菌作用以外の作用を期待して、マクロライド少量長期療法(マクロライド療法)が行われてきました。マクロライド系抗菌薬の抗菌作用ではなく、抗炎症作用や気道上皮への作用などを期待して使用するということです。慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎などに対して行われることがあります。それでも、どこかのタイミングで効果が得られたかを判断する必要があります。効果には限界があると共に、長期間使用すると耐性菌ができてしまう恐れがあるためです。

一例として慢性副鼻腔炎の場合、マクロライド系抗菌薬の効果は2~4週間ほどで表れ始めます。2~3ヵ月ほど使用して効果が見られない場合は中止する必要があります。効果が見られる場合でも3~6ヶ月で服用を終了します。(これは、あくまでも医師が判断することですので、処方された場合は用法用量きちんと守ることが大切です。)

 

耐性菌とは
マクロライド系抗菌薬は、広く使用されてきましたが耐性菌が問題となってきました。耐性菌とは、薬が効かない菌のことです。抗菌薬を使っているうちに、薬に強い菌が生き残ってしまいます。生き残った耐性菌が増殖すると、次に同じ薬を使っても効かなくなってしまいます。
抗菌薬の用量を守らなかったり、使用期間を守らなかったりすると耐性菌が残る危険があります。

 

 

まとめ

・マクロライド系抗菌薬には、抗炎症作用や気道上皮への作用などの抗菌作用以外の作用があります。
・抗菌作用以外の作用を期待して、少量で長期間服用するマクロライド療法が行われることがあります。

 

 

参考資料:耳鼻咽喉科領域におけるマクロライド療法の見直し|日耳鼻120,2017、小児感染免疫Vol.28No.4,2016

*医薬品の使用に当たっては、担当の医師、薬剤師等の指示に従って下さい。

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