薬剤性肝障害を引き起こすものとして、どんな医薬品が報告されているのでしょうか。
市販薬や健康食品でも肝機能障害は起こり得ます。
薬剤性肝障害の起因薬として特定できたカテゴリー
- 抗生物質(14.3%)
- 精神科・神経科用薬(10.1%)
- 健康食品(10.0%)
- 解熱・鎮痛・抗炎症薬(9.9%)
- 循環器薬(7.5%)
- 漢方薬(7.1%)
- 消化器用薬(6.1%)
- 一般市販薬(5.5%)
- ホルモン製剤(3.6%)
- 抗アレルギー薬(3.2%)
- 造血と血液凝固関係製剤(2.8%)
- 高脂血症薬(2.7%)
- 抗がん薬(2.6%)
これは、2008年6月の日本肝臓学会総会で,29施設から1997~2006年の10年間の1,676例の薬物性肝障害症例の集積を行ったデータです。
起因薬をカテゴリー分けし、症例数の多い順に挙げています。
あくまでも症例数の順であり、肝機能障害の発生確率ではありません。
そのため、使用頻度の高いものも、上位になっています。
漢方薬による肝障害も多い
漢方薬は市販薬での使用も多くなっていることが影響していると思われます。
漢方薬の場合、副作用の発現頻度が明らかになっていないものがほとんどです。
それでも、肝機能障害を引き起こすことがあるということは間違いありません。
市販の漢方薬を、長期に渡って使用している方には注意していただきたいと思います。
健康食品でも肝障害の可能性はある
健康食品の報告数は、全体の10%を占めています。
健康食品も、肝臓に負担をかける場合があります。
漢方薬と同じく長期に渡って使用する場合は注意が必要でしょう。
2017~2013年の経口薬による薬剤性肝障害報告数の多いもの
(医薬品医療機器総合機構情報提供HPより)
- ラミシール(340)
- プラビックス(241)
- テグレトール(219)
- パナルジン(198)
- イレッサ(197)
- ロキソニン(192)
- UFT(156)
- ローコール(141)
- クレストール(137)
- リピトール(135)
- イスコチン(134)
- クラリス(127)
- クラビット(119)
- カロナール(117)
- ザイロリック(111)
- ユリノーム(104)
- ガスター(103)
- リピディル(102)
このデータも報告数をまとめたものであり、肝障害の発生確率ではありません。
そのため、肝障害の起こりやすいものと、使用頻度の高いものが混在している。
カロナールなど、いつも安心して使用している薬剤も肝障害を引き起こし得ます。
一類医薬品として市販されているガスターも103例報告されています。
市販薬の場合は、長期連用しないようにする事が大切です。
まとめ
経口薬は基本的に肝臓を通るので、大半の薬は肝障害を引き起こし得ます。
当たり前に使っている薬にも、肝障害のリスクはあることを覚えておきましょう。
参考資料:日本内科学会雑誌104巻5号