このサイトでは、患者さんに薬の説明をする薬剤師の視点で薬の解説をしています。
普段、患者さんに説明しきれないことまで、詳しく解説します。
この記事では、睡眠改善薬のベルソムラの作用をまとめています。
ベンゾジアゼピン系薬とは異なり、依存性がないという利点のあるベルソムラについて解説します。
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ベルソムラの作用
ベルソムラは覚醒に関わるホルモンに関係する薬です。
覚醒を抑えることで、睡眠を誘発します。
簡単にいうと、目覚めてシャキッとするのを抑えるということです。
具体的には、オレキシンというホルモンの働きを抑えます。
オレキシンが覚醒ホルモンの一種です。
日中にオレキシンの量が増えると、脳内のオレキシン受容体に作用します。
オレキシンが働くことで、覚醒が維持されます。
ベルソムラは、オレキシン受容体を一時的にふさいで、オレキシンの覚醒作用を抑えます。
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ベルソムラの注意点
ベルソムラには依存性がなく、使いやすい薬といえます。
でも、注意点がないわけではありません。
高齢者
高齢者には、用量の少ない15mgを使用します。
高齢者の場合、血中濃度の数値が高くなるからです。
飲み合わせ
いくつか飲み合わせの悪い薬があります。
一般的に使用頻度の高い、クラリスロマイシンという抗生剤とも一緒に服用できません。
一緒に服用すると、ベルソムラの効果が強く出てしまいます。
それは、クラリスロマイシンによって肝臓の代謝酵素CYP3Aが阻害されるためです。
ベルソムラは、このCYP3Aによって代謝される-つまり壊されます。
CYP3Aの働きが弱まると、ベルソムラの血中濃度が増加してしまいます。
CYP3Aを弱める薬は他にもありますので、併用薬には注意が必要です。
肝機能障害のある患者
ベルソムラは66%が糞中に排泄されます。
つまり、肝臓で壊されて便に排泄される量が多い。
そのため、肝機能が弱くなっていると、排泄されにくくなり、血中濃度が上昇します。
肝機能障害のある方は、効き過ぎてしまう恐れがあるので、注意が必要です。
翌朝の眠気
ベルソムラは効果持続時間が比較的長い薬です。
平均半減期は10時間です。
覚醒を弱める作用がそれだけ持続します。
そのため、翌朝の眠気や注意力低下などに十分な注意が必要です。
まとめ
ベルソムラは依存性がないという点が、大きな利点です。
比較的自然な睡眠を助ける薬です。
一方で、飲み合わせなどには注意が必要な薬です。