高血圧の患者さんの血圧が下がっていました。
すると患者さんから「薬は飲まないとだめなの?」と聞かれました。
薬局ではよくある会話です。
では、高血圧の薬はやめられないのでしょうか?
一生飲まないといけないというのは本当でしょうか?
一時的に血圧を下げているだけ
まず押さえておきたいのは、高血圧の薬は一時的に血圧を下げているだけという事です。
病気の治療には、根本的な原因を取り除く治療と、症状を抑える治療があります。
根本的な原因を治療している場合、原因が取り除かれれば治療は必要なくなります。
高血圧の薬は、原因を取り除くものではありません。
一時的に「高血圧」という症状を抑えているにすぎません。
症状を取り除いているだけですので、薬をやめてしまうと症状が再び現れます。
つまり、高血圧の薬をやめると血圧は上がってしまいます。
血圧の薬は足し算引き算
ざっくりした説明ですが、血圧の薬は足し算引き算です。
血圧の薬を”足す”と、血圧は”引かれ”ます。
つまり薬を追加すると、その分だけ血圧は下がります。
その逆に、薬を減らすと、その分だけ血圧は上がります。
薬を減らすのであれば、今の血圧ではなくて、薬を減らした後の血圧がどうなるのかを考えなければいけません。
血圧の薬はやめられる
では、血圧の薬を減らすにはどうすればいいのでしょうか?
高血圧は以下の二つのタイプがあります。
- 本態性高血圧:長年の生活習慣が原因の高血圧です。
- 二次性高血圧:ほかの病気が原因で起こる高血圧です。
高血圧の人の90%は本態性高血圧と言われています。
高血圧の人のほとんどは、生活習慣が原因ということです。
そのため、高血圧の原因を取り除くには、生活習慣を改善することが必要になります。
食生活や運動など、生活習慣を改善します。
特に、塩分の摂りすぎに注意します。
このように、生活習慣からアプローチして、血圧を下げていきます。
薬を中止しても血圧が正常値になる状態になれば、薬を減らしていくことができます。
高血圧の薬は一生飲まないといけない?
「高血圧の薬は一生飲まないといけないの?」
と尋ねる患者さんもいます。
ここまで考えたように、生活習慣からアプローチして血圧を下げる事ができれば、薬はやめることができます。
そうは言っても、長年の生活習慣を改善し、血圧が下がるところまで継続することは、かなりの努力が要ります。
多くの人は、生活習慣から改善していくことができないために薬を飲まざるを得ません。
薬を一生飲む方が多いのは、生活習慣を改善できないからなのです。
まとめ
「高血圧の薬はやめられない? 」「高血圧の薬は一生飲まないといけない?」という疑問を取り上げました。
薬を飲むと血圧が下がりますが、それは高血圧が治ったわけではありません。
薬をやめたら、また血圧は上がります。
自己判断で薬をやめないようにしましょう。
でも、薬をやめられないわけではありません。
生活習慣を改善していけば、薬を減らしていけることがあります。
薬で血圧が下がってからも、生活習慣を改善していけば薬を減らす事は可能なんです。
でも、薬を減らせるか判断するのはお医者さんです。
お医者さんと相談しながら高血圧を改善していきましょう。