ワーファリンは昔から使われている抗凝固薬です。血液が固まるのを防ぐ、いわゆる”血液サラサラの薬”です。
安価ですが、服用量の微調整が必要で、薬や食事との飲み合わせにも注意が必要です。
この記事では、ワーファリン(成分名:ワルファリン)の作用と注意点を解説します。
関係する検査値として、PT-INRについても取り上げます。
ワーファリンの作用
ワーファリンはビタミンKの働きを邪魔する薬です。ビタミンKは血液凝固に関係するビタミンです。ビタミンKが活性化されるといくつかの血液凝固因子が活性化されて血液の凝固が進みます。ビタミンKによって活性化される凝固因子は第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子です。これらをまとめてビタミンK依存性凝固因子と呼びます。
ワーファリンはビタミンKの働きを邪魔して、ビタミンK依存性凝固因子の働きを邪魔し、結果として血液凝固を阻害します。
効果発現までの時間
ワーファリンは効果が出るまでに時間がかかります。抗凝固効果は12~24時間目に発現し、十分な効果は36~48時間後に現れます。
作用持続時間は48~72時間です。
作用持続時間は48~72時間です。
ワーファリンは、血液中ではなく肝臓で働きます。また、すでに活性化された凝固因子には働きません。そのため、効果発現までのタイムラグが生じます。
用量調節
ワーファリンは用量調節が大切な薬です。用量が少ないと血栓の予防ができません。効きすぎてしまうと出血のリスクが上がります。そのため、血栓予防効果を得ながらも出血のリスクの少ない用量に調節することが大切です。
そこで使用されている指標が、PT-INR(INR)というものです。PT-INRは血液検査でわかります。PT-INRが1.6~2.8になるように用量を調節します。
ワーファリンは、PT-INRが1.6~2.8になるように用量を調節します。
PT-INR(INR)とは
PT-INRは、血液凝固因子に関係したたんぱく質の測定値で、血液の固まりやすさの指標です。
PT-INRはプロトンビン時間から算出したものです。プロトロンビンとは、血液凝固因子の第Ⅱ因子のことです。プロトロンビンにトロンボプラスチンを加えると血液は固まります。そこで、トロンボプラスチンを加えて血液が固まるまでの時間を測定する事で血液の固まりやすさを知ることができます。この時間をプロトンビン時間(PT)といいます。
PT-INRは、以下の計算式で算出します。
PT-INR=患者のプロトンビン時間/正常血漿のプロトロンビン時間
PT-INRはプロトンビン時間のばらつきを補正したものといえます。PT-INRが小さいほど、血液が固まりやすいということになります。
PT-INRは、血液の固まりやすさの指標です。PT-INRが小さいほど、血液が固まりやすいということになります。
相互作用
ワーファリンはビタミンKを邪魔することにより効果を発揮します。そのため、ビタミンKを含有する食品やサプリメントとの相互作用が起こります。ビタミンKを多くとると、ワーファリンの効果が弱まってしまいます。ワーファリン服用中は、納豆、クロレラ、青汁などは避けるようにしましょう。
妊娠と授乳
ワーファリンは催奇形性があるため、妊娠している方は服用できません。授乳中には問題なく服用できます。
まとめ
・ワーファリンはビタミンKの働きを邪魔して、ビタミンK依存性凝固因子の働きを邪魔し、結果として血液凝固を阻害します。
・ワーファリンは、INRが1.6~2.8になるように用量を調節します。
・INRは血液の固まりやすさの指標で、血液凝固因子に関係したたんぱく質の測定値です。
・ワーファリンは、ビタミンKを含有する食品やサプリメントとの相互作用が起こります。
・妊娠している方は服用できませんが、授乳中には問題なく服用できます。
参考資料:血栓止血誌 19(2)183~186, 2008、国立成育医療センターホームページ