ミネブロとは
腎臓の尿細管にあるミネラルコルチコイド受容体(MR)にくっつくことで、尿の量を増やして血圧を下げる薬です。
MRにくっついてアルドステロンの働きを邪魔することで、利尿作用によって血圧を下げます。
ミネラルコルチコイド受容体(MR)
ミネラルコルチコイド受容体(MR)とはアルドステロンの受容体です。
MRにアルドステロンがくっつくと、ナトリウム(Na)が尿から血液に運ばれる量が増えます。
水は基本的にNaと一緒に動くので、水も血液に運ばれる量が増えます。
その結果、血液の量が増えて血圧が上がります。
このとき、Naとカリウム(K)が交換されるので、Kが尿に運ばれます。
ミネラルコルチコイド受容体(MR)をふさぐ
ミネブロはMR拮抗薬に分類されます。
アルドステロン拮抗薬とも言います。
既存のアルドステロン拮抗薬には、セララ、アルダクトンAがあります。
MRにくっついてアルドステロンの邪魔をする薬です。
椅子取りゲームのようにMRをふさいでしまいます。
その結果、Naと水が血液に運ばれる量が減り、尿量が増えます。
利尿作用によって血液量が減ることで、血圧が下がります。
このとき、Kが尿に運ばれる量も減るため、血液中のKが保持されます。
高カリウム血症に注意
カリウム(K)の排泄量が減るため、血中のK値が上昇することがあります。
重大な副作用として、高カリウム血症(1.7%)が報告されています。
そのため、既に高カリウム血症の方は服用できません。
重度の腎機能低下の方(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)も、K値が上昇する可能性があるので服用できません。
また、他のアルドステロン拮抗薬と一緒に服用することで、作用が増強されて高カリウム血症となる恐れがあります。併用はできません。
アルダクトンAとの違い
アルダクトンAは、MR選択性が低い薬です。
つまり、MR以外にも作用してしまいます。
具体的には、性ホルモン受容体にくっつくことで、女性化乳房や月経異常などの副作用が起きることがあります。
ミネブロは、ミネラルコルチコイド受容体選択性が高く、女性化乳房や月経異常などの副作用起きにくい薬です。
セララとの違い
セララは、MR選択性は高いですが、腎機能低下の方に使用しにくい薬です。
中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分未満)の方や、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病の方は禁忌となっています。
ミネブロは、重度の腎機能低下の方には使用できませんが、中等度以上の腎機能障害の方や微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病の方にも使用できます。
まとめ
・MRにアルドステロンがくっつくと、ナトリウム(Na)が尿から血液に運ばれる量が増えます。
・ミネブロは、MRにくっついてアルドステロンの働きを邪魔することで、利尿作用によって血圧を下げます。
・カリウム(K)の排泄量が減るため、血中のK値が上昇することがあります。
・アルダクトンとの違いは、MR選択性が高く、女性化乳房や月経異常などの副作用起きにくいことです。
・セララとの違いは、中等度以上の腎機能障害の方や微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病の方にも使用できます。
参考資料:添付文書、インタビューフォーム、日経DI2019/3/7