越婢加朮湯は、むくみや関節炎などに用いられてきた漢方薬です。
アレルギー性鼻炎や中耳炎などにも効果があり、花粉症にも使用されることがあります。
越婢加朮湯の効果
越婢加朮湯は、古くから、むくみや関節炎などに用いられてきた漢方薬です。
ツムラ越婢加朮湯の添付文書に記載されている「効能・効果」は以下の通りです。
浮腫と汗が出て小便不利のあるものの次の諸症:腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹
石膏と麻黄によって体の余剰な水を尿として排出します。
蒼朮、生姜、大棗、甘草などの胃薬が入っているため、長期間の内服に向いています。
関節炎などの、炎症があり水が溜まっているような状態に使用されます。具体的には、変形性膝関節症、急性通風性関節炎、関節リウマチなどの炎症と関節水腫が見られる疾患に使用されています。
アレルギー性鼻炎や湿潤したアトピー性皮膚炎、中耳炎などの「水(すい)」の異常を伴う病態にも使用されています。余分な水分を排出していくため、鼻炎のよる鼻の粘膜のむくみや、皮膚炎で患部に水が溜まっている状態に効果があります。
配合生薬
配合されている生薬は以下の通りです。
・石膏(セッコウ)
・麻黄(マオウ)
・蒼朮(ソウジュツ)
・大棗(タイソウ)
・甘草(カンゾウ)
・生姜(ショウキョウ)
余分な水分の排泄を促す生薬や、炎症に効果がある生薬が配合されています。
以下に、各生薬の特徴を挙げていきます。
石膏(セッコウ)
余分な水分を排出するのを助けます。炎症を取り除く作用があります。
麻黄(マオウ)
発汗、鎮痛、鎮咳、去痰、利尿作用があります。発熱、悪寒、頭痛などに効果があります。
蒼朮(ソウジュツ)
消化器の代謝を改善します。健胃作用、整腸作用があります。余分な水分を排出する作用もあります。
大棗(タイソウ)
緩和、強壮、利尿、精神安定作用があります。
甘草(カンゾウ)
滋養・調和・緩和・消炎・去痰作用があります。 胃潰瘍にも効果があります。
肝機能を改善する作用もあります。
グリチルリチン酸が含まれているため、偽アルドステロン症に注意が必要です。
生姜(ショウキョウ)
水毒による悪心嘔吐・下痢・咳などを除去する目的で薬方に配合されます。
まとめ
・越婢加朮湯は、古くから、むくみや関節炎などに用いられてきた漢方薬です。
・関節炎などの、炎症があり水が溜まっているような状態に使用されています。
・アレルギー性鼻炎や湿潤したアトピー性皮膚炎、中耳炎などの「水(すい)」の異常を伴う病態にも使用されています。
・余分な水分の排泄を促す生薬や、炎症に効果がある生薬が配合されています。
参考資料:添付文書、日経DI2019/3/18、日経DI2018/6/21 、東京生薬協会ホームページ、日本東洋医学雑誌59 巻 (2008) 5 号