調剤業務が大きく変わりそうです。厚生労働省は2020年2月28日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、電話や情報通信機器を用いた診療、およびファクス等による処方箋の送付と調剤を認める通知を出しました。対象は、慢性疾患などで定期的に受診している患者さんです。
”0228通知”とでも呼ばれるようになるのでしょうか。
※この記事は、2020年2月28日の厚生労働省の通知に基づいています。
FAXのみで調剤が可能になりました
・処方箋原本は後日で問題ありません。
今回の通知で、FAX処方箋だけでも患者さんに薬をお渡しできるようになりました。これまでは、FAXで処方箋を受け付けただけでは患者さんに薬をお渡しできませんでした。大きな方向転換です。
処方箋原本は、後日薬局が入手できれば問題ありません。これまでは、処方箋原本を処方箋発行日を含めて4日以内に薬局に提出する必要がありました。薬局は、処方箋原本を受け取ってからでなければ薬を渡すことはできませんでした。
対象は定期処方のみ
対象は、患者が複数回以上受診しているかかりつけ医等が、電話診療等の利便性や有効性が危険性を上回ると判断した場合です。すべての処方について、FAX処方箋のみでの調剤が認められたわけではありません。
遠隔服薬指導が可能
医師は上記の対象患者に対して、慢性疾患治療薬を、電話や情報通信機器を用いた診療で処方することができるようになりました。
薬剤師が行う服薬指導も、電話や情報通信機器を用いて行ってもよくなりました。調剤した医薬品は、確実に授与される方法で患者へ渡します。
薬は郵送などでお届けします。確実に薬をお渡しするため、郵送の追跡サービスは利用した方が良いと思われます。また、薬が届いてきちんと服用できているかを後日確認します。
処方箋受付の重複を防ぐ
処方箋を2か所の薬局で受け付けてしまうことのないように対策が取られています。医療機関から薬局にファクスなどで送付することが原則ですが、患者自身のFAXも有効です。
患者からFAXが送付された場合と、医療機関からFAXが送付された場合の手順は以下の通りです。
患者からFAX処方箋が送られてきた場合
患者さんが処方箋をFAXした場合、薬局は真偽を確認するため、処方箋を発行した医師が所属する医療機関に、処方箋の内容を確認します。医師は診療録に薬局を記録する。
ただし、患者からではなく医療機関から薬局にファクスなどで送付することが原則です。患者が希望する場合には、患者自身が処方箋情報を薬局にファクスなどで送付することも差し支えない、となっています。
医療機関がFAXする場合
医療機関から処方箋情報の送付を直接受けた場合には、上記の確認は行わなくてもよいことになっています。医師は、診療録に送付先の薬局を記録します。
処方箋原本は後日でOK
繰り返しになりますが、この場合は処方箋原本は後日の受け取りでOKです。医療機関が後日薬局に送付するか、患者が薬局に持参すればよいことになりました。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、電話や情報通信機器を用いた診療とファクス処方箋による調剤が認められました。遠隔服薬指導も可能になりました。
対象は慢性疾患の定期処方のみです。
処方箋原本は後日の受け取りでOKです。
参考資料:慢性疾患等を有する定期受診患者等に係る電話や情報通信機器を用いた診療、処方箋の送付及びその調剤等に関する留意点について、日経DI2020.2.28