感染症

PCR検査の感度、特異度、陽性的中率とは【新型コロナウイルス】

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新型コロナウイルスのPCR検査が注目されていますね。どんな検査にも言えますが、PCR検査も100%的中する訳ではないので、医師は問診やCT検査などを総合的に判断して診断します。PCR検査は診断を下すための一つの要素と考えましょう。PCR検査で陰性だったとしても、安心とは言い切れません。

検査の精度を理解する上で、大切なのが「感度」、「特異度」、「陽性的中率」です。新型コロナウイルスの流行に冷静に対応していくために、一般の方も理解しておく必要がありますよ。

・感度とは、ウイルス感染しているときに「陽性」と正しく判定する割合です。新型コロナウイルスのPCR検査の感度は低いと言われています。
・特異度は、ウイルスがいない場合に「陰性」と正しく判定する割合です。新型コロナウイルスのPCR検査は特異度が高い検査です。
・陽性的中率は、検査で「陽性」と判定された人のうち本当にウイルス感染している人の割合です。陽性的中率は「誰に」に検査するかで変化します。医師は、やみくもに検査するのではなく、検査の対象となる人を判断して検査していきます。

感染が拡大するとPCR検査を増やす必要がある【有病率と陽性的中率】

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PCR検査の感度は低い

新型コロナウイルスのPCR検査の感度は低いと言われています。

感度とは、ウイルス感染しているときに「陽性」と正しく判定する割合です。

仮に感度80%だと、ウイルス感染している人が100人いたときに80人が正しく「陽性」と判定されます。残りの20人は、ウイルス感染しているのに陰性と判定されてしまいます。

新型コロナウイルスのPCR検査の感度は低いので、ウイルスに感染していても「陰性」となってしまうことが多くあります。採取したウイルス量が少ないと陰性になりやすいです。そのため、検体の採取、運搬などの取り扱いが大切になります。

陰性と判定されても、後日に再検査すると陽性になるのは感度が低いのが一つの要因です。

 

特異度は高い

PCR検査は特異度が高い検査です。

特異度は、ウイルスがいない場合に「陰性」と正しく判定する割合です。

仮に特異度80%だと、ウイルス感染していない人が100人いたときに80人が正しく「陰性」と判定されます。残りの20人は、ウイルス感染していないのに陽性と判定されてしまいます。

PCR検査は特異度が高いので、他のウイルスを間違えて検出して「陽性」と判定されることはほとんどありません。MARSウイルス、インフルエンザウイルスなどの病原体を含むサンプル297例を検査したところ、間違えて陽性と判定されることはありませんでした。

 

 

 

陽性的中率は変化する

陽性的中率は「誰に」検査するかで変化します。

陽性的中率は、検査で「陽性」と判定された人のうち本当にウイルス感染している人の割合です。

これは有病率で変化してきます。重病の人だけを検査すれば有病率が上がるので、陽性的中率は上がります。その反対に、軽症の人の多くも検査対象にしていけば陽性的中率は下がります。

 

少し詳しく解説します。

ここでは、分かりやすくするために感度を60%、特異度を99%と仮定します。

 

症状がある人に絞ると陽性的中率は上がる

症状がある人に絞って検査すると、感染していない人は入り込みにくいので有病率が上がります。1000人中100人が感染していると仮定します。つまり有病率10%です。

検査の感度60%、特異度99%と仮定します。

1000人中100人が感染しています。感度60%だと、感染している100人のうち60人は正しく陽性になります。特異度99%だと、感染していない900人中9人が、感染していないのに陽性になります。

陽性的中率は陽性の人のうち本当に感染している人なので、60人÷(60人+9人)です。この場合、陽性的中率は約87%になります。

対象1000人(有病率10% 感染している人100人 感染していない人900人
検査で陽性 60人 9人
検査で陰性 40人 891人

 

 

軽症の人を含めると陽性的中率は下がる

軽症の人も含めると、ウイルス感染していない人が多く入り込むので有病率が下がります。仮に1000人中10人が感染している仮定します。有病率1%です。

検査の感度60%、特異度99%と仮定します。

1000人中10人が感染しています。感度60%だと、感染している10人のうち6人は正しく陽性になります。特異度99%だと、感染していない990人中10人が、感染していないのに陽性になります。

陽性的中率は陽性の人のうち本当に感染している人なので、6人÷(6人+10人)です。この場合、陽性的中率は38%になります。

対象1000人(有病率1%) 感染している人10人 感染していない人990人
検査で陽性 6人 10人
検査で陰性 4人 980人

 

このように陽性的中率は有病率によって変化します。症状がある人に絞れば有病率が上がるので、陽性的中率は上がります。軽症の人の多くも検査対象にしていけば陽性的中率は下がります。

たくさん検査すれば良いというわけではないことが分かりますね。ただし、市中感染が広がると有病率が上がりますので、検査を拡大することは意味のあることです。検査を拡大して全体像を把握することが大切になってきます。

「誰に」検査するかで陽性的中率は変化します。医師は、やみくもに検査するのではなく、検査の対象となる人を判断して検査していきます。患者から「PCR検査をして下さい」と希望して行うという性質のものではありません。

医師たちは、丁寧に診察して陽性的中率を上げていきたいと考えているはずです。このことを理解して、ただ検査を要求するのではなく医師や医療関係者に協力していきましょう。

 

まとめ

・100%的中する検査はないので、医師は問診や触診、CT検査など幾つもの検査を総合的に判断して診断します。PCR検査は診断を下すための一つの要素と考えましょう。

・感度とは、ウイルス感染しているときに「陽性」と正しく判定する割合です。新型コロナウイルスのPCR検査の感度は低いと言われています。

・特異度は、ウイルスがいない場合に「陰性」と正しく判定する割合です。新型コロナウイルスのPCR検査は特異度が高い検査です。

・陽性的中率は、検査で「陽性」と判定された人のうち本当にウイルス感染している人の割合です。陽性的中率は「誰に」に検査するかで変化します。医師は、やみくもに検査するのではなく、検査の対象となる人を判断して検査していきます。

 

参考資料:日経メディカル2020.3.2

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*医薬品の使用に当たっては、担当の医師、薬剤師等の指示に従って下さい。

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