【インフルエンザ】ゾフルーザが効かなくなる?ー薬剤耐性について

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ゾフルーザとは

ゾフルーザはインフルエンザの治療薬として画期的な新薬です。
従来のインフルエンザ治療薬とは、効き方が異なります。
ゾフルーザの効き方については別のページにまとめています。*

一方で、新薬ゆえに未知の副作用が発現する可能性があります。
ウイルスの薬剤に対する耐性化を心配する声もあります。

ここでは、耐性化についてまとめます。

 

薬剤耐性ウイルスとは

薬剤耐性ウイルスとは、薬が効かないウイルスのことです。
インフルエンザウイルスはRNAウイルスの一種です。
遺伝情報がRNAに書き込まれていて、増殖する際にはRNAをコピーしていきます。

その時、ある割合でRNAのコピーにエラーが生じます。
その結果、少し異なる特性を持つウイルスができます。

その中で、「薬が効かない」という特性を持ったウイルスが出来てしまう事があります。
これが、薬剤に耐性のあるウイルス‐つまり薬剤耐性ウイルスです。




ゾフルーザの効かないウイルス?

抗ウイルス薬を使用していると、薬剤耐性ウイルスが生き残ってしまうことがあります。
これは、抗生物質にも言えることで、病原微生物を”たたく”薬では起こり得ることです。

薬を服用すると、通常のウイルスは減っていきますが、薬剤耐性ウイルスの割合が増えてしまいます。

 

ここでは簡略化して説明します。

△を通常のウイルス、×を耐性ウイルスとします。

最初は通常のウイルス△がいるとします。
△△△△△△△△△△△△△△△

 

薬によってウイルスが減ります。
△△△△△△△△△△△

 

ウイルスは減りますが、耐性ウイルス×ができました。
△△△△△△△△×

耐性ウイルスには薬が効かないため、耐性ウイルスの割合が増えてきます。
△△△△×××

すべてのケースがこれに当てはまるわけではありませんが、このようにして薬剤耐性ウイルスが生まれます。

薬が効くウイルスは減っていきますが、薬が効かないウイルスは生き残ってしまう訳です。

こうして、ゾフルーザに耐性のあるインフルエンザウイルスができてしまうことが分かっています。

とはいっても、むやみに怖がる必要はありません。

ウイルスは薬だけで退治するわけではありません。

実際、体力のある大人であれば、必ずしも抗インフルエンザ治療薬を使用する必要はありません。

しかも、耐性ができるのはゾフルーザに限った話ではありません。

例えば、タミフルに耐性のあるインフルエンザウイルスができることも分かっています。

また、同じことが細菌でも生じていて、抗生剤の効かない耐性菌も問題になっています。




ゾフルーザの耐性化

 

ではゾフルーザに対する薬剤耐性ウイルスはどれくらいできるのでしょうか。
ゾフルーザのインタビューフォームには「耐性」という項目があります。
臨床試験においても耐性の問題が検証されています。

この中で、ポイントとなるのが「I38のアミノ酸変異」です。
I38のアミノ酸はゾフルーザの標的部位の一部です。
そのためこの変異が、耐性と関わっていると見られます。

 

12歳未満を対象とした臨床試験では、77例中18例で、I38のアミノ酸変異が見られました。
つまり、23.3%で耐性が現れたと考えられます。
4人に1人くらいの割合です。

成人及び12歳以上では、370例中36例で、I38のアミノ酸変異が見られました。
つまり、9.7%で耐性が現れたと考えられます。
10人に1人くらいの割合です。

 

耐性ウイルスは増殖する?

一方で、I38のアミノ酸変異では増殖能の低下が見られました。
つまり、薬剤耐性のウイルスはできるけど、そのあとはあまり増えないかもしれません。

ただし、はっきりしたことは言えません。
ゾフルーザに関しては、まだまだ分かっていない点があるといえます。

 

 

まとめ

この記事では、ゾフルーザの効かない薬剤耐性ウイルスについてまとめました。

子供では4人に1人、大人では10人に1人くらいの割合で、ゾフルーザの効かないウイルスができてしまうようです。

とはいっても、ほかの抗インフルエンザ治療薬でも耐性の問題はありますから、冷静に考える必要があります。

また、新薬であるゆえに未知の副作用がこれから明らかになる可能性は十分にあります。

ゾフルーザは利点の多い薬ですが、冷静な目で見ていく必要があると言えます。

インフルエンザ治療の選択肢が一つ増えた、くらいに考える方が賢明なのかもしれません。

 

*ゾフルーザの効き方についてはこちらの記事をご覧ください。

【感染症】インフルエンザの新薬ゾフルーザの効き方(作用機序)