夏場は、子供の皮膚のトラブルが起きやすい季節です。
虫刺され程度なら慌てることがありませんが、湿疹などが広がったりすると慌ててしまうのではないでしょうか。
虫刺されなどが原因で起こる皮膚炎の一つに「とびひ」があります。
とびひとは
とびひの正式病名は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)です。水ぶくれなどの症状が接触によって広がっていきます。とびひのように、症状が広がっていく事から「とびひ」と呼ばれています。
原因は身近な細菌
とびひの原因は、細菌の感染です。虫刺されをかきむしったりしてできた傷に細菌が感染して起こります。虫刺されのほかにも、あせもや湿疹、すり傷などに細菌が感染することでも起こります。原因となる菌は、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(いわゆる溶連菌)です。黄色ブドウ球菌は、人の皮膚に普段から存在しています。普段から身近にいる細菌が傷に広がることでとびひになってしまうわけです。同様に、溶連菌も、普段から鼻やのどに存在しています。溶連菌が、鼻にできた傷に増え広がることでとびひになることがあります。
対処法
患部を清潔にすることや、体のほかの部位や他の人に感染しないようにすることが大切です。適切な外用薬を使用します。
清潔にする
患部を清潔にすることが大切です。泡立てたせっけんで患部を清潔にすることが大切です。泡立てたせっけんでやさしく洗います。患部の膿みに接触することで感染しますので、外用薬を塗ってからガーゼなどで覆います。他の人へ感染するので、プールには入れません。また、他の子どもより後に入浴するようにします。
治療薬
治療は主に外用薬を使用します。フシジン酸ナトリウム、テトラサイクリン系抗菌薬やニューキノロン系抗菌薬の塗り薬を使用します。抗菌薬を塗ってからガーゼで覆います。病院では、抗菌薬の内服薬も使用することがあります。
市販薬
市販の外用薬にも、とびひに効果のあるものがあります。抗菌作用や殺菌作用のある成分、炎症を抑える成分が配合されている薬がとびひに効果があります。
アポスティーローション 180mL [第3類医薬品]
殺菌消毒用のローション剤です。殺菌作用のあるベンゼトニウム塩化物や、炎症を抑えるグリチルリチン酸二カリウムなどを配合しています。
効能効果は以下の通りです。
かき傷,創傷面の殺菌・消毒,とびひ・おでき等の感染皮膚面の消毒,きり傷,すり傷,さし傷,靴ずれ
ドルマイシン軟膏 6g [第2類医薬品]
コリスチンとバシトラシンという2種類の抗菌薬が配合されています。コリスチンはグラム陰性菌に対して効果があります。バシトラシンはグラム陽性菌と陰性菌の一部に効果があります。
効能効果は以下の通りです。
外傷・火傷等の化膿予防及び治療,膿痂疹(とびひ),セツ(せつ),癰(よう),疔(ちょう),毛嚢炎,湿疹,グラム陽性・陰性菌の単独及び混合感染による皮膚疾患,化膿症,伝染性皮膚炎,皮膚潰瘍
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市販薬の注意点
このようにとびひに効果のある市販薬も販売されています。それでも、基本的には医師に診てもらって薬を処方してもらうことをおすすめします。また、医師に薬を処方してもらった場合は、途中で市販薬に切り替えるのではなく処方された薬をきちんと使用しましょう。
まとめ
・とびひは、虫刺されをかきむしったりしてできた傷に細菌が感染して起こります。
・原因となる細菌は、黄色ブドウ球菌や溶連菌などの身近に存在する細菌です。
・体のほかの部位や他の人に感染しないように注意が必要です。
・清潔にすることと、抗菌薬の配合された塗り薬などを適切に使用することが大切です。
参考資料:皮膚科Q&A|公益社団法人日本皮膚科学会