フォルテオとは
フォルテオは骨粗鬆症の薬です。
効能効果は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」となっています。
有効成分はテリパラチドといいます。
テリパラチドは、副甲状腺ホルモンの活性がある部分だけを取り出したものです。
34個のアミノ酸がつながった構造をしています。
1日1回皮下注射することで骨密度を高める働きがあります。
骨のサイクル
私たちの体では、骨がつくられることと、骨が壊されることが同時に起こっています。
新しい骨がつくられるよりも、壊される量が多ければ骨密度は低下していきます。
新しい骨が作られる量が多ければ骨密度は高まります。
骨が作られる
↓
骨
↓
骨が壊される
フォルテオの効き方
フォルテオの成分は、テリパラチドという副甲状腺ホルモンの活性本体です。
テリパラチドは、骨のサイクルに作用します。
特に、間欠投与すると、骨の元となる骨芽細胞を活性化します。
つまり、ずっと体の中にあるのではなく、”休み休み”投与することで、骨をつくる量が増えます。
具体的には、以下の機序で骨がつくられるのを助けます。
①骨の元となる骨芽細胞がつくられるのを助けます。
骨芽細胞が増えることで、骨が作られる量が増えます。
②骨芽細胞が壊れないようにします。
骨芽細胞のアポトーシスを抑制することで、骨芽細胞が減らないようにします。
(アポトーシスとは細胞が死ぬことです。テリパラチドは骨芽細胞がアポトーシスによって減ってしまうのを防ぎます。)
このように、骨芽細胞が活性化されることで、骨がつくられる量が多くなり骨密度が増加します。
骨をこわす作用もある?
テリパラチドは、骨をこわす働きもあります。
骨の元となる骨芽細胞が活性化されると、間接的に破骨細胞も活性化されます。
破骨細胞は骨をこわしていきます。
つまり、骨をつくる量が増えた後、骨がこわされる量も増えます。
間欠的にではなく持続的にテリパラチドを投与すると、骨がこわされる量が増えてしまい、骨量が減少してしまいます。
間欠的にーつまり”休み休み”テリパラチドを投与すると、このようなことは起こりません。
”休み休み”投与すれば、骨が作られる量の方が多くなるため、骨量が増えることになります。
”休み休み”とは
テリパラチドの効果を引き出すためには、持続的にではなく間欠的に投与する必要があることが分かりました。
つまり”休み休み”投与する必要があります。
では、”休み休み”とはどれくらいの間隔でしょうか?
答えは、1日1回です。
フォルテオの半減期は1時間未満です。
1回投与しても、すぐに体からなくなっていく事が分かります。
ですから、1日1回投与するということは、体にとっては”休み休み”投与していることになります。
そのため、フォルテオの用法は「1日1回テリパラチドとして20μgを皮下に注射する」となっています。
この用法で効果が確認されています。
フォルテオの効果
フォルテオの効果は、国内外の臨床試験によって確認されています。
国内臨床試験では骨密度が10%以上増加することが確認されています。
12 ヵ月間、18 ヵ月間及び24 ヵ月間の治療で腰椎(L2-L4)骨密度平均変化率は10.04%、11.93%及び13.42%であった。
インタビューフォームより
海外の臨床試験では、骨折の発生が抑制されました。
新規椎体骨折及び非外傷性非椎体骨折の発生に対して、それぞれ65%及び53%抑制効果が認められている。
インタビューフォームより
24ヶ月の制限
フォルテオは24か月の投与期間の制限があります。
臨床試験で、24か月を超える安全性が確認されていないためです。
経緯は、フォルテオのラットを使ったがん原性試験にさかのぼります。ラットで骨肉腫を含む骨腫瘍性病変が確認されました。
その後、サルを使った長期試験では骨肉腫は認められませんでした。その後、ヒトに対する臨床試験でも副作用と考えられる骨肉腫は確認されませんでした。
そのため、ラットでは骨肉腫が発生したものの、ヒトでは発生する可能性は小さいと考えられました。
それでも、骨肉腫の発生リスクがないとは言い切れないため、投与期間の制限が設けられることになりました。
このことと関連して、骨肉腫発生のリスクが高いと考えられる患者や、悪性骨腫瘍の患者などには禁忌となっています。
ラットとヒト
ラットで発生した骨肉腫は、高用量で生じたものでした。
ヒトにテリパラチド20μgを投与した場合の2.4~48倍にあたる投与量で骨肉腫が発生しました。
ラットとヒトでは骨の成長の仕方が違います。
ラットは一生のあいだ骨の成長が続くため、ヒトにも全く同じ作用があると考えるのは間違いです。
"ラットで骨肉腫が発生した=ヒトでも発生する"ということではありません。
まとめ
・フォルテオは「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」の薬です。
・私たちの体では、骨がつくられることと、骨が壊されることが同時に起こっています。
・フォルテオの成分は、テリパラチドとい副甲状腺ホルモンの活性本体です。
・テリパラチドは、間欠投与すると、骨の元となる骨芽細胞を活性化します。
・フォルテオの用法は「1日1回テリパラチドとして20μgを皮下に注射する」となっています。
・フォルテオは24か月の投与期間の制限があります。