授乳中もアレルギーの薬を服用したいということがあります。
授乳中も安全に使用できると考えられれているアレルギーの薬があります。
点眼薬・点鼻薬
アレルギーに使用される点眼薬や点鼻薬には、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、ケミカルメディエーター遊離阻害薬などがあります。
いずれも、局所で作用するため全身への影響はほとんどありません。
血液中にはほとんど移行しないということです。
血液中にほとんど移行しないということは、母乳中へは移行する量はごくわずかということです。
点眼薬や点鼻薬が赤ちゃんに影響することはほとんどありません。
抗ヒスタミン薬(内服)
内服の抗ヒスタミン薬は、血流に入り全身を巡ってから効果を発揮します。
そのため、点眼薬や点鼻薬に比べて母乳に移行しやすくなります。
それでも、母乳に移行する量がわずかであることが分かっている薬があります。
問題ないと考えられる抗ヒスタミン薬
国立成育医療センターのホームぺージには「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」が挙げられています。
抗ヒスタミン薬では、以下の薬が挙げられています。
・ジフェンヒドラミン
商品名はレスタミンコーワなどです。ドラッグストアなどで購入できます。
・デスロラタジン
商品名はデザレックスです。処方箋医薬品のみです。
・フェキソフェナジン
アレグラなどです。ドラッグストアなどで購入できます。
・ロラタジン
商品名はクラリチンなどです。ドラッグストアで購入できますが、薬剤師による販売が必要です。
添付文書上は不可
上記の薬剤の添付文書では、授乳中の服用は不可となっています。
そのため、薬剤師に尋ねると、「授乳中の服用は避けるように」という返答が返ってくるはずです。
各薬剤の添付文書の記載をまとめます。
・ジフェンヒドラミン
レスタミンコーワ錠添付文書
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。〔母乳を通して乳児の昏睡がみられたとの報告がある。〕
・デスロラタジン
デザレックスの添付文書
授乳中の婦人には、投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。〔ロラタジンの臨床試験で、デスロラタジンのヒト母乳中への移行が報告されている1)。〕
・フェキソフェナジン
アレグラ添付文書
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
・ロラタジン
クラリチン添付文書
授乳中の婦人には,投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること。[ヒト母乳中への移行が報告されている。(【薬物動態】の項参照)]
実際のところどうなのか
添付文書の記載は、”服用禁止”という意味ではありません。医師の判断で処方されることがあります。
但し、市販薬については、薬剤師が「服用して大丈夫です」とは言えないでしょう。
実際には、医師が母親の体調や赤ちゃんの成長などを考慮して服用できると判断されることがあります。
母親の体調を整えることが、赤ちゃんの成長にも重要だからです。
また、赤ちゃんの成長に伴い授乳の回数が減れば赤ちゃんへの影響は少ないと考えられます。
まとめ
・アレルギーの点眼薬や点鼻薬は授乳中でも問題なく使用できます。
・いくつかの内服の抗ヒスタミン薬も問題なく服用できると考えられます。
・内服の抗ヒスタミン薬の添付文書には「授乳中は避けること」などの記載があるため、市販薬の服用を薬剤師が許可することはできません。
・母親の体調や赤ちゃんの成長を考慮して、医師が処方することがあります。