ステロイド外用薬は保湿剤などと混合することで、作用が強くなる場合と弱くなる場合があります。
保湿剤で薄めているようで、実際には作用はそれほど弱くならない場合があります。
それは、混合する軟膏の特性によって変わります。
尿素配合の軟膏にウレパール軟膏とパスタロンソフト軟膏があります。
どちらも尿素配合の軟膏ですが、ステロイドと混合したときに全く違う影響を与えます。
ウレパール軟膏と混合すると弱まる
これは、ウレパール軟膏が乳剤性基剤の水中油型(oil in water:O/W型)の軟膏のためです。
油脂性ステロイド剤と水中油型の軟膏を混合すると,ステロイドの効果が落ちます。乳化の状態が破壊されるからです。
乳剤性基剤の水中油型(oil in water:O/W型)の軟膏は、他にも以下のものがあります。
・レスタミンコーワ軟膏(一般名ジフェンヒドラミン)
・ザーネ軟膏(ビタミンA)
・ユベラ軟膏(酢酸トコフェロール)
・オイラックスクリーム(クロタミトン)
・ヒルドイド(ヘパリン類似物質)
パスタロンソフト軟膏と混合すると強まる
パスタロンソフトは油中水型(water in oil:W/O型)のため乳化を破壊することはないので、ストロイドの効果を弱めません。
むしろ、尿素などの保湿外用薬は、薬剤の皮膚透過性を高めるためステロイドの効果が強まります。
つまり、油中水型の軟膏と混ぜでも効果は弱まりません。ただし、油中水型の保湿剤の場合は、逆に効果が強まります。
乳剤性基剤の油中水型(water in oil:W/O型)の軟膏・クリームは、他にも以下のものがあります。
・ネリゾナユニバーサルクリーム
・メサデルムクリーム
・ヒルドイドソフト軟膏
ステロイドを希釈?
ステロイド外用薬を白色ワセリンやプロペトと混合しても効果はあまり変わりません。
ステロイドを2分の1に希釈した場合
ステロイド外用薬と白色ワセリンやプロペトを1:1の割合で混合して、2分の1の薄めても、効果は二分の一にはなりません。この割合だと、効果はほとんど変わらないことが分かっています。
ステロイドを4分の1に希釈した場合
4分の1にした場合でも、ステロイドの効果は2分の1になるだけです。
ステロイドをワセリンなどで希釈しても、比例して効果が弱くなるということはありません。
ステロイドをワセリンなどで希釈することで、ステロイドの効果をコントロールすることは困難です。
まとめ
・ウレパール軟膏とパスタロンソフト軟膏は、どちらも尿素配合の軟膏ですが、ステロイドと混合したときに全く違う影響を与えます。
・ステロイドをウレパール軟膏と混合すると、ステロイドの効果が弱くなります。
・ステロイドを水中油型の軟膏と混ぜると、効果が弱まります。
・ステロイドをパスタロンソフト軟膏と混合すると、ステロイドの効果が強くなります。
・油中水型の保湿剤の場合は、ステロイドの効果を強めます。
・ステロイドをワセリンなどで希釈することで、ステロイドの効果をコントロールすることは困難です。
・ステロイドを保湿剤などと混合することは、エビデンスが得られていないものも多く、できるだけ避けるべきです。
参考資料:日経DI2008.8.15