バレニクリンは病院で処方される禁煙補助薬です。
商品名はチャンピックスです。
バレニクリンは、ニコチン受容体にくっつくことで作用を発揮します。
ニコチンの働きを邪魔するだけでなく、ニコチン受容体に対して部分作動薬として働きます。
この記事では、バレニクリンの作用機序と副作用についてまとめています。
ニコチン依存
たばこをやめられない理由は、たばこに含まれるニコチンに対する依存にあります。
ニコチンは体に吸収されやすい物質です。
口の粘膜や皮膚からも速やかに吸収されて、脳に入ります。
ニコチンが脳内にあるニコチン受容体にくっつくとドパミンが放出されます。
ドパミンが放出されると、多幸感、陶酔感などと言われる快感を感じます。
ニコチンが不足すると、イライラやストレスを感じるようになります。(離脱症状)
チャンピックスの作用機序
チャンピックスの成分バレニクリンは、α4β2ニコチン受容体にくっつく作用があります。ニコチン受容体には、他にもいくつかの種類がありますが、バレニクリンはα4β2ニコチン受容体以外にはほとんど作用しません。バレニクリンは、ニコチン受容体の部分作動薬としての作用を持ちます。ニコチンの働きを邪魔する作用と、少しだけニコチンと同じ作用を示します。
ニコチンの働きを邪魔する
バレニクリンは、α4β2ニコチン受容体にくっついて受容体をふさいでしまいます。バレニクリンがくっついた受容体には、ニコチンがくっつけなくなります。椅子とりゲームのように、受容体をふさいでニコチンの邪魔をします。ニコチンが受容体にくっつけなくなるということは、たばこを吸ってニコチンが体に入っても作用しないということです。つまり、たばこを吸っても満足感を得られにくくなります。
部分作動薬としての作用
たばこを吸って、ニコチンが受容体にくっつくと、ドパミンが放出されます。ドパミンが、快感(多幸感、陶酔感)を生じさせます。バレニクリンはニコチン受容体にくっつくと、少しだけ受容体を刺激します。その作用は、最大でもニコチンの約60%以下です。ニコチン受容体に少しだけ作用するということは、少しだけドパミンが放出されるということです。少しだけドパミンが放出されることで、禁煙に伴う離脱症状やたばこに対する切望を軽減します。つまり、たばこを吸っていないときの欲求を抑えます。
チャンピックスの副作用
チャンピックスの使用に関係なく、禁煙中は不安感や不眠、イライラなど様々な症状が生じることがあります。
また、チャンピックスの服用で、めまいや眠気などが現れることがあるので、自動車の運転など危険な作業を行わないようにする必要があります。
頻度が高い副作用としては、吐き気(28.5%)、不眠(16.3%)、異常な夢(13.0%)、頭痛(11.6%)、鼓腸(8.3%)が挙げられています。
(鼓腸とは、胃腸にたくさんのガスがたまって、お腹がはり、たたくとポンポンと音がする症状のことです。)
まとめ
・チャンピックスは病院で処方される禁煙補助薬で、ニコチン受容体にくっつくことで作用を発揮します。
・ニコチン受容体をふさいで、たばこを吸っても満足感を得られなくします。
・ニコチン受容体を少しだけ刺激し、たばこに対する切望を軽減します。
参考資料:添付文書、インタビューフォーム