ガストールは空腹時の胃の痛みなどに効果的です。
有効成分のピレンゼピンには胃酸の分泌を抑える働きがあります。
ガスターと作用は似ていますが、効き方が異なります。
この記事ではガストールの作用とガスターとの違いについて解説しています。
アセチルコリンの働き(消化器)
アセチルコリンは副交感神経が働いたときに分泌されます。消化器に対しては、胃腸の働きを高める働きがあります。胃腸の運動を活発にし、胃酸の分泌を促します。副交感神経が活発になりアセチルコリンが働きすぎると、胃腸の痙攣や痛みが生じたり、胃酸の分泌が増えて胃炎などが生じます。
アセチルコリンは、受容体にくっつくことで様々な細胞に働きかけます。特に消化器で関係するのが、ムスカリンM1受容体とムスカリンM3受容体です。
アセチルコリンがM1受容体にくっつくと胃酸が分泌されます。
アセチルコリンがM3受容体にくっつくと胃腸の運動が活発になります。
抗コリン薬の作用
消化器系に使用される抗コリン薬は、基本的に胃腸の痙攣を抑える働きがあります。それにより、胃けいれんや腹痛に効果を発揮します。この作用は、特にムスカリンM3受容体拮抗作用によるものです。つまり、抗コリン薬はM3受容体にくっついてアセチルコリンの働きを邪魔することで胃腸の運動を抑えます。
ピレンゼピンの作用機序
一方、ピレンゼピンは、ムスカリンM1受容体にくっついてアセチルコリンの働きを抑える働きがあります。アセチルコリンが作用する受容体にはいくつもの種類があります。ピレンゼピンはM1受容体にくっついてアセチルコリンの働きを邪魔します。それによって、胃酸の分泌を減らし、胃酸過多や胃痛の症状を抑えます。胃酸の分泌を促すホルモンであるガストリンの働きを抑える働きもあります。
ガスターとの違い
ガスターはH2ブロッカーとして良く知られています。ヒスタミンがH2受容体にくっつくと胃酸が分泌されます。ガスターは椅子取りゲームのようにH2受容体をふさぐことでヒスタミンの邪魔をします。結果として胃酸の分泌が抑制されて胃の痛みが改善します。
ピレンゼピンはH2受容体ではなくM3受容体をふさぎます。ガスターとは違った作用で胃酸の分泌を抑制します。ガスターとは若干違った作用で胃酸の分泌を抑えます。
まとめ
・アセチルコリンがM1受容体にくっつくと胃酸が分泌されます。
・アセチルコリンがM3受容体にくっつくと胃腸の運動が活発になります。
・ピレンゼピンはM1受容体にくっついてアセチルコリンの働きを邪魔することで、胃酸の分泌を減らします。
参考資料:ガストロゼピンインタビューフォーム、NEW薬理学、抗コリン薬解説|日経メディカル
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