ロコアテープの適応は、「変形性関節症における鎮痛・消炎」です。
1日1回使用することで効果を発揮するテープ剤です。
成分はエスフルルビプロフェンという非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。
ロコアテープは外用薬ですが体への吸収が良く、内服薬と同程度の効果が期待されています。
この記事では、 ロコアテープの効果と副作用についてまとめます。
ロコアテープとは
ロコアテープの有効成分-エスフルルビプロフェンは、アドフィードパップやゼポラスパップの成分フルルビプロフェンの活性本体です。フルルビプロフェンは、立体構造の異なるS-フルルビプロフェン(エスフルルビプロフェン)とR-フルルビプロフェンの混合物(ラセミ体)です。
フルルビプロフェン=S-フルルビプロフェン+R-フルルビプロフェン
アドフィードパップやゼポラスパップには、この混合物が配合されていますが、効果を発揮しているのは、S-フルルビプロフェンの方です。
効果
S-フルルビプロフェン >> R-フルルビプロフェン
ロコアテープは、薬効の強いS-フルルビプロフェンだけを取り出し製剤化したものです。
COX阻害作用
エスフルルビプロフェンには、強力なCOX阻害作用があります。
COXとは、シクロオキシゲナーゼのことでプロスタグランジンという炎症や痛みを引き起こす物質を作り出す酵素です。
COXを邪魔することで、炎症や痛みを抑えることができます。
COXには、COX1とCOX2があります。特にCOX2が痛みや炎症に関わっています。
エスフルルビプロフェンは、R-フルルビプロフェンの1000倍以上のCOX阻害作用があることが分かっています。
そのため、プロスタグランジンの産生を抑える作用は、1000倍以上強力です。
アドフィードパップやゼポラスパップの作用も、エスフルルビプロフェンのCOX阻害作用によるものですが、エスフルルビプロフェンだけを取り出したロコアテープは、より強力なCOX阻害作用を発揮します。
吸収率が高い
ロコアテープは、テープ剤のつくり(基剤)を工夫することで皮膚からの吸収率が高くなっています。
アドフィードパップ、ゼポラスパップとの比較
ロコアテープは、フルルビプロフェン貼付剤(アドフィード、ゼポラス)よりも関節の滑膜や、関節液、血液中へ移行しやすいことが確認されています。
変形性膝関節症患者にロコアテープ(20mg)と、フルルビプロフェン貼付剤(40㎎)を12時間貼付した結果は、エスフルルビプロフェンの濃度は、関節の滑膜で14.8倍、関節液で32.7倍、血中で34.5倍となりました。
内服薬との比較
一般に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は内服薬のほうが吸収が良いとされています。
ロコアテープは、内服薬の服用と同じくらい吸収されやすくなっています。
臨床試験で、ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)とフルルビプロフェン内服薬の比較が行われています。
ロコアテープ2枚を使用した場合と、フルルビプロフェン錠40㎎(フロベン錠)を1日3回内服した場合とで、血中濃度が同程度でした。
具体的には、ロコアテープ2枚を毎日貼付した場合、7日目の23時間の血中濃度下面積(AUC0-23h)が47000ng・h/mLでした。
一方、フルルビプロフェン経口剤40mg(フロベン錠)を1日3回服用して、血中濃度が安定した時点での24時間の血中濃度下面積(AUC0-24h)は48000ng・h/mLでした。
このように、ロコアテープを使用した場合の血中濃度は内服薬の場合と同程度になります。
そのため、ロコアテープは1度に使用できる枚数は2枚までとなっています。
1日に使用できる枚数も2枚までとなっています。
ロコアテープの注意事項
ロコアテープは、内服薬と同じような注意事項があります。内服薬と同程度の血中濃度になるためです。
例えば、内服のNSAIDsと同様に、胃粘膜の防御機能が低下することがあります。
胃潰瘍などの方は、基本的に服用できません。
その他にも、出血傾向のある方、肝機能障害の方、腎機能障害の方なども基本的に服用できません。
*添付文書には、その他にも禁忌の記載があります。
ロコアテープの副作用
かぶれなどの皮膚症状が高い頻度で起こるので、注意が必要です。
皮膚症状の発生頻度は、貼ったところの皮膚炎8.0%、紅斑3.2%、湿疹2.3%となっています。
まとめ
・ロコアテープは外用薬ですが内服薬と同じくらい体への吸収率が高い薬です。
・ロコアテープは、アドフィードパップやゼポラスパップの有効成分のうち、薬効の強いS-フルルビプロフェンだけを取り出し製剤化したものです。
・ロコアテープは、かぶれなどの皮膚症状が高い頻度で起こるので、注意が必要です。
参考資料:添付文書、インタビューフォーム