インフルエンザ 感染症

イナビル吸入懸濁用160mgセットの特徴

2019年9月3日

「イナビル吸入懸濁用160mgセット」が2019年6月18日に、製造販売承認を取得しました。

9月に薬価収載されて、10月頃に発売となる見通しです。

 

イナビルは、1回の使用で効果を発揮するインフルエンザ治療薬です。

これまで、粉末の吸入薬がありましたが、今回ネブライザを使用するタイプの製剤が発売となります。

 

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イナビルとは

イナビルはノイラミニダーゼ阻害薬というインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。効能効果は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」となっています。小児から成人までのA 型又はB 型インフルエンザウイルス感染症患者に対して有効性が確認されています。

有効成分は、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物といいます。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、肺の細胞に入るとラニナミビル(活性代謝物)に変換されます。その後、ラニナミビルはウイルスの増殖部位である肺の細胞に長時間にわたり留まります。

 

 

 

ノイラミニダーゼ阻害薬の作用

ウイルスは、ヒトの細胞に侵入すると細胞内の機能を利用して増えていきます。こうして増殖した新しいウイルスは、細胞から外に出て別の細胞に侵入して増殖を繰り返していきます。増殖したウイルスが細胞から放出される際に、ウイルスが持っているノイラミニダーゼという酵素が働きます。ノイラミニダーゼによって、ウイルスは細胞から離れて他の細胞へと感染することができます。

ラナミビルは、肺の細胞の中に留まりインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼとくっつきます。その結果、ノイラミニダーゼが働かなくなりウイルスは細胞から離れることができなくなります。その結果、ウイルスの増殖が抑えられていきます。

ノイラミニダーゼ阻害薬は、他にもタミフルやリレンザ、ラピアクタがあります。

 

イナビル吸入懸濁用160mgセットとは

イナビルは、2010年からイナビル吸入粉末剤20㎎という製品が使用されてきました。1度の使用で治療が終了するという利点があります。一方、粉末を吸入するため、高齢者や小児が上手に吸入できないことがありました。その点を改善することを目的としてイナビル吸入懸濁用160mgセットが開発されました。

イナビル吸入懸濁用160mgセットも白色の粉末ですが、使用する際には生理食塩液を加えて懸濁液とします。その後、ジェット式ネブライザを使用して吸入します。添付のネブライザ吸入器を使用する際に、事前にコンプレッサーとの適合性を確認する必要があります。実際には、規格が合致する機器を置いている病院や医院で使用することになると思われます。

 

 

なぜ160㎎なのか

イナビル吸入粉末剤とイナビル吸入懸濁用では投与方法が違うため、同様の効果を得るためには用量を変える必要があります。イナビル吸入懸濁用は160㎎を1度吸入します。

用法及び用量は以下の通りです。

成人及び小児には、ラニナミビルオクタン酸エステルとして160mgを日本薬局方生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザを用いて単回吸入投与する。

イナビル吸入懸濁用の用量は、気管と肺に到達する薬の量を評価して決められました。肺胞粘液中の活性代謝物 ラニナミビルの量も考慮されています。イナビル吸入粉末剤160㎎では、これまで使用されてきたイナビル吸入用粉末剤20㎎(小児)及び40㎎(成人)と同程度の薬物量が気管と肺に達することが確かめられています。そのため、イナビル吸入懸濁用は小児に対しても成人に対しても、160㎎を使用することになっています。

用量決定の経緯についてインタビューフォームに以下の記載があります。

用法及び用量の設定経緯・根拠
イナビル吸入粉末剤の承認用量に相当する本剤の用量を検討するため、米国薬局方に定める小児と成人の標準的な呼吸パターン(換気量、呼吸頻度、吸入/呼気時間比)を考慮し、気管及び肺に到達する薬物量と相関する指標の微粒子量(fine particle dose: FPD)をin vitro カスケードインパクターを用いて評価した。
その結果、本剤160mg は、小児と成人の標準的な呼吸パターンで、それぞれ吸入粉末剤20mg(10 歳未満の承認用量)及び吸入粉末剤40mg(成人及び10 歳以上の小児での承認用量)に相当するFPD が得られた。また、本剤の臨床薬理試験(J109)4)の結果、日本人健康成人男性に本剤160mg を単回吸入投与したときの肺胞粘液中の活性代謝物 ラニナミビルは、吸入粉末剤40mg 投与時(吸入粉末剤の臨床薬理試験:J108)の曝露を下回らず、投与4 時間後でA 型及びB 型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対する50%阻害濃度(50% inhibitory concentration: IC50)値を十分上回る濃度が認められ、投与168 時間後でもIC50 値を上回る濃度が確認された。
国内第Ⅲ相試験(J310)1)では、成人及び10 歳以上の小児のA 型又はB 型インフルエンザウイルス感染症患者を対象とした本剤160mg の単回吸入投与時の有効性主要評価項目において、プラセボに対する本剤の優越性が検証された。また、10 歳未満の小児のA 型又はB 型インフルエンザウイルス感染症患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(J311)2)では、J310 試験と同程度の本剤160mg の単回吸入投与時の有効性を有することが確認された。
以上から、成人及び10 歳以上の小児患者に対する用法及び用量、並びに10 歳未満の小児に対する用法及び用量ともに本剤160mg 単回吸入投与と設定した。なお、本剤は、日本薬局方生理食塩液で用時懸濁しネブライザを用いて吸入する製剤であるため「日本薬局方生理食塩液2mL で懸濁」することを記載した。

イナビル吸入懸濁用160mgセットインタビューフォーム

 

 

まとめ

・イナビルはノイラミニダーゼ阻害薬というインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。

・イナビル吸入懸濁用160mgセットは、ジェット式ネブライザを使用して吸入するため、規格が合致する機器を置いている病院や医院で使用することになると思われます。

 

参考資料:イナビル吸入懸濁用160mgセット添付文書、インタビューフォーム、イナビル吸入懸濁用160mgセット製造販売取得のご案内

 

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*医薬品の使用に当たっては、担当の医師、薬剤師等の指示に従って下さい。

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