抗インフルエンザ薬の予防投与とは?

この記事は約4分で読めます。

インフルエンザの予防にタミフルやイナビルなどの抗インフルエンザ薬を使うことができます。
そうは言っても誰でも使えるわけではありません。
この記事では、抗インフルエンザ薬の予防目的での使用方法についてまとめます。

 

 

予防のために使える

抗インフルエンザ薬は、インフルエンザの予防目的に使用することが可能です。ウイルスの耐性化を防ぐために、安易に使用することはできず、以前は推奨されていませんでした。しかし、リスクの高い患者さんに対しては積極的に使用することが推奨されるようになりました。WHOの新型インフルエンザ薬剤治療に関するガイドラインで、抗インフルエンザ薬のタミフル、リレンザを使用することが推奨されています。これらの薬剤によって、重症化や死亡を減らすことができます。また、入院日数を減らすことにもつながります。
現在、タミフル、リレンザ、イナビルをインフルエンザ予防の目的で使用できます。

 

 

予防目的の使用法



治療目的で使用するよりも、用量を減らし日数を増やすことが基本になっています。予防効果は、服用している期間に限られます。そのため、入院中に同室の人が発症したなど、インフルエンザの感染リスクが高い場合などに使用します。

 

タミフル

タミフルカプセルをインフルエンザの予防目的で使用する際は、1日1回1カプセルを7~10日間服用します。体重37.5kg以上の小児の場合は10日間服用します。通常の治療に用いる1日量の半分にして、倍の日数使用することになります。(インフルエンザの治療に使用する場合は1回1カプセルを1日2回、5日間服用します。)インフルエンザウイルス感染症患者に接触後48時間以内に投与を開始します。できるだけ早く服用を開始すれば予防効果が高くなります。48時間以上経過してからの有効性は確認されていません。タミフルを服用している期間のみ予防効果が得られます。

 

リレンザ

リレンザをインフルエンザの予防目的で使用する際は、1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入する。通常の治療に用いる1日量の半分にして、倍の日数使用することになります。(インフルエンザの治療に使用する場合は1に2回5日間の使用です。)リレンザの場合は、インフルエンザウイルス感染症患者に接触後36時間以内に使用を開始する必要があります。36時間以上経過してからの有効性は確認されていません。リレンザの場合も、使用している期間のみ予防効果が得られます。

 

イナビル吸入粉末剤20mg

イナビルはインフルエンザの治療に使用する際は、40㎎を1回使用します。予防に使用する際は、同じように40㎎を1回使用するか、20mを1日1回2日間使用することもできます。10歳未満の場合は20㎎を1回使用します。(イナビル吸入懸濁用160mgセットは予防目的では使用できません。)
インフルエンザウイルス感染症患者に接触後48時間以内に投与します。できるだけ早く服用を開始すれば予防効果が高くなります。48時間以上経過してからの有効性は確認されていません。また、イナビルを使用してから10日間の予防効果を期待できますが、10日以上たってからの予防効果は確認されていません。

 

 

対象となるのは重症化のリスクが高い人




予防目的での抗インフルエンザ薬の使用は、インフルエンザが重症化するリスクが高い人に使用されます。リスクが高い人とは、5歳未満の幼児、高齢者や呼吸器疾患、心疾患、肝疾患、糖尿病、免疫低下(癌、HIV感染など)の患者のことです。こうした患者さんに使用することで、インフルエンザからの回復が0.4日から1.5日早まることが期待できます。また、肺炎など抗菌薬を使用しなければいけない合併症を43%減少させることができます。十分な予防効果を得るために、できるだけ早く服用を始めることが大切です。

一方で、リスクが低い人への投与は控えるべきです。持病がなく比較的元気な人の場合は、抗インフルエンザ薬による治療自体が必要ないといわれています。予防目的の服用が必要ないだけでなく、治療目的でも抗インフルエンザ薬は必ずしも必要ではないということです。重症化のリスクが低い人の場合、インフルエンザは自然治癒する病気で、抗インフルエンザ薬は半日ほど早く熱を下げる薬と考えることができます。

 

 

まとめ

・抗インフルエンザ薬のタミフル、リレンザ、イナビルはインフルエンザ予防の目的で使用できます。
・使い方は、治療目的で使用するよりも、用量を減らし日数を増やすことが基本になっています。
・予防効果は、基本的に服用している期間に限られます。1度だけ使用するイナビルは10日程度の予防効果を期待できます。
・対象となるのは5歳未満の幼児や、高齢者、持病のために重症化のリスクが高い人い限られます。

 

 

参考資料:タミフル添付文書、リレンザ添付文書、イナビル添付文書、日経DI2012/11/1、日経DI2017/12/13