麦門冬湯は咳に効き目のある漢方薬です。痰のからんだ咳、気管支炎や気管支喘息の咳に効果があります。
妊婦さんや授乳中の方も服用できます。(薬剤師などに相談してから使用して下さい。)
咳への効果
麦門冬湯の効能効果は、「痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支喘息」です。咳を抑え(鎮咳作用)、痰を切り(去痰作用)、呼吸を楽にする(気管支拡張作用)作用があります。
風邪による長引く咳に効果があります。インタビューフォームによると、風邪で2週間以上咳が続く患者が服用したところ、2日目で効果が表れ始めました。
✔鎮咳作用
咳を抑える作用(鎮咳作用)は、モルモットを使った実験で確かめられています。麦門冬湯は気管支炎のモルモットの咳反射を抑制しました。
✔去痰作用
痰をきる作用(去痰作用)はウズラの気道を使った実験で確かめられています。粘液輸送速度の低下が抑制されました。
✔気管支炎拡張作用
呼吸を楽にする作用(気管支拡張作用)がモルモットを使った実験で確かめられています。麦門冬湯はアセチルコリンによる気管支収縮を抑制しました。ヒスタミンによる気道過敏性も抑制しました。
麦門冬湯の成分(生薬)
麦門冬湯は、バクモンドウ、コウベイ、ハンゲ、タイソウ、カンゾウ、ニンジンという生薬によって構成されています。
- バクモンドウ:鎮咳、去痰、止渇、滋養強壮作用を期待した漢方薬に配合されます。
- コウベイ:滋養、補気、健脾、止渇作用があります。
- ハンゲ:胃内停水による嘔吐、咳を鎮め、痰を去る。唾液分泌を亢進し、咽喉頭痛を収める。
- タイソウ:緩和、強壮、利尿、精神安定作用。
- カンゾウ:配合されている生薬を調和させます。滋養、緩和、消炎、去痰作用があります。
- ニンジン:弱った胃腸、胸部のつかえ、食欲不振、腹痛、糖尿、疲労などを改善する漢方薬に配合されます。
妊娠中・授乳中にも使える
病院で処方される麦門冬湯は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に処方されることになっています。(ツムラ麦門冬湯添付文書)
市販のクラシエ麦門冬湯は、薬剤師または登録販売者に相談したうえで服用できます。
✔妊婦が服用できない漢方薬
以下の成分を配合した漢方薬は、妊婦は服用できません。
- ダイオウ
- ボタンピ
- ブシ
- トウニン
- ゴシツ
- 硫酸ナトリウム・無水ボウショウを含有する製剤
以上の成分が配合された漢方薬は、基本的に妊婦は服用できません。流産や早産の危険性が高くなります。
その他のの漢方薬も積極的に勧めるわけではありません。漢方薬は認否への安全性のデータがないためです。
授乳中は、通常の用法なら漢方薬を服用して問題ありません。
血圧上昇に注意
麦門冬湯は血圧の上昇に注意が必要です。これはカンゾウが配合されているためです。甘草に含まれるグリチルリチン酸が偽アルドステロン症という副作用を引き起こすことがあります。グリチルリチン酸によって血中のカリウム値が下がって血圧が上がります。大抵の場合、服用を中止すれば2~3日でおさまります。それでも、血圧が高くなったときは病院を受診しましょう。
まとめ
麦門冬湯は咳や痰に効果があります。
基本的に妊娠中・授乳中にも使えます。
血圧の上昇に注意が必要です。
参考資料:ツムラ麦門冬湯添付文書、インタビューフォーム、クラシエ麦門冬湯顆粒A添付文書,妊娠と授乳改訂2版