ミニリンメルトは尿の量を減らすので頻尿に効果があります。子供の夜おねしょに使われてきた薬ですが、夜中に何度もトイレに起きてしまう成人男性にも使用できるようになりました。特に、尿の量が多いために頻尿になっている場合に処方されます。
成人に処方されるミニリンメルトは、子供に処方されるものよりも低用量です。ミニリンメルトは低ナトリウム血症などのリスクがあるためです。
この記事では、ミニリンメルトの作用について解説します。大人に処方される低用量のミニリンメルトの注意点についても解説します。
腎臓の働き
腎臓の働きについておさらいします。
腎臓は血液をろ過して尿をつくります。血液をろ過して、たくさんの尿をつくります。ざっくりとたくさんの尿をつくってから、ほとんどを血液に戻します。
たくさんの尿をつくりますが、ほとんどの水分を血液に戻します。水が血液に戻るときには、ナトリウムやカリウムも一緒です。不要なものだけを尿に残して濃縮します。
水だけを再吸収するしくみ
ナトリウムやカリウムとは関係なく、水だけを血液に戻すしくみもあります。血液中のナトリウムなどが多くなると、血液を薄めます。これにはバソプレシンというホルモンが関わります。
血液が濃くなると(浸透圧が上がる)バソプレシンというホルモンが分泌されます。バソプレシンが腎臓にある受容体とくっつくと、アクアポリンという物質が働きます。アクアポリンが、水だけを尿から血液へ戻します。
このように、バソプレシンは血液を薄め尿の量が減らします。
ミニリンメルトの作用
ミニリンメルトの作用はバソプレシンと同じです。水だけを尿から血液へ戻して、血液を薄めます。
ミニリンメルトの成分はデスモプレシンです。デスモプレシンは腎臓のバソプレシン受容体にくっつきます。すると、アクアポリンが働いて、水だけを尿から血液へ戻します。
水だけを尿から血液に戻します。血液を薄め、尿の量を減らしていきます。
尿の量を減らす作用を利用して、ミニリンメルトOD錠60µg、120µg、240µgが子供の夜尿症に使われてきました。バソプレシンが不足したことによる尿崩症の治療にも使います。
ミニリンメルトは、低ナトリウム血症のリスクなどがあるので基本的に使えるのは子供だけでした。
成分量を少なくしたミニリンメルトOD錠25µg、50µgは、大人の頻尿にも使えるようになっています。特に、尿の量が多いために夜中に何度もトイレに行くという場合に使えます。
男性の頻尿の原因としては前立腺肥大などもありますが、ミニリンメルトが使えるのは、尿の量が多いために頻尿になっている場合です。効能効果は、「男性における夜間多尿による夜間頻尿」となっています。
低ナトリウム血症に注意
ミニリンメルトの副作用に低ナトリウム血症があります。尿から水だけを血液に戻していくため、血液のナトリウムが薄くなることがあります。そのため、低ナトリウム血症に注意が必要です。
低ナトリウム血症になると疲労感や頭痛、嘔吐などの症状が出ることがあります。重くなる痙攣などが起きることもあります。
利尿薬との併用
ミニリンメルトOD錠25µg、50µgは、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬との併用ができません。
ループ利尿薬やチアジド系利尿薬は、ナトリウムが血液に戻るのを邪魔する働きがあります。血液のナトリウムが減るので低ナトリウム血症のリスクがあります。
これらの利尿剤とミニリンメルトを一緒に飲むと、ミニリンメルトが血液を薄める作用と相まって血液中のナトリウムがさらに減ってしまいます。低ナトリウム血症のリスクが高くなります。これらの利尿剤との併用はできません。
ステロイド薬との併用
ミニリンメルトOD錠25µg、50µgは外用薬以外のステロイド薬(注射剤、経口剤、吸入剤、注腸剤、坐剤)との併用もできません。
海外の臨床試験で低ナトリウム血症になった患者がステロイドを併用していたためです。125Eq/Lになった5人中4人がステロイドを併用していました。なぜステロイドを併用すると低ナトリウム血症になりやすくなるのかは不明です。
まとめ
腎臓はたくさんの尿をつくり、必要なものを血液に戻して尿を濃縮します。
バソプレシンは水だけを血液に戻すので、血液を薄め尿の量が減らします。
ミニリンメルトも血液を薄め尿を減らします。
ミニリンメルトが効きすぎると血液のナトリウムが薄くなり低ナトリウム血症になります。
ミニリンメルトOD錠25µg、50µgは、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬、外用薬以外のステロイド薬との併用ができません。
参考資料:ミニリンメルトOD錠25・50 インタビューフォーム