ザルティア錠、アドシルカ錠、シアリス錠の3剤は一般名はタダラフィル錠で、同成分の薬です。同じ成分ですが、適用に違いがあります。
ザルティアは前立腺肥大の治療薬です。
アドシルカは肺動脈性高血圧の治療薬です。
シアリスはED治療薬(自費薬)です。
ザルティアは前立腺肥大の薬
ザルティア錠は前立腺肥大に伴う排尿障害が適用になっています。
作用機序としては、血管拡張作用による血流改善と、平滑筋弛緩作用がポイントです。
「重要な基本的注意」を見ると、血圧低下と勃起延長に関係する記述があります。
「その他の注意」を見ると、ザルティアの服用と心血管疾患、性行為の要素が重なるときに心筋梗塞などが起きていることが分かります。
「警告」にはニトログリセリンなどの硝酸製剤との併用に関する記述があります。硝酸製剤との併用により、cGMPの増大することから血管拡張作用が増強され急激な血圧低下に至ることがあり、併用禁忌となっている。
ザルティアの添付文書(抜粋)
【効能・効果】
前立腺肥大症に伴う排尿障害
<作用機序
タダラフィルはPDE5を阻害することにより、前立腺及び膀胱平滑筋、並びに下部尿路血管の平滑筋内cGMP濃度を上昇させる。タダラフィルによる血管拡張作用を介した血流増加が前立腺肥大症に伴う排尿障害の症状緩和に寄与していると考えられる。また、前立腺及び膀胱における平滑筋弛緩が血管に対する作用を補完している可能性がある。
重要な基本的注意
(1)他のPDE5阻害剤と同様に、本剤は血管拡張作用を有するため一過性の軽度の血圧低下があらわれる場合がある。本剤投与の前に、心血管系障害の有無等を十分確認すること。
(2)α遮断剤と併用する場合は、降圧作用を増強するおそれがあるため、患者背景を考慮して治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ慎重に投与すること。[「相互作用」の項参照]
(3)4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国にてごくまれに報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみその他の注意
(1) 勃起不全治療剤として使用されたタダラフィルの市販後の自発報告において、心筋梗塞、心突然死、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作等の重篤な心血管系障害がタダラフィル投与後に発現している。これらの多くが心血管系のリスクファクターを有している患者であった。多くの事象が、性行為中又は性行為後に認められ、少数例ではあるが、性行為なしにタダラフィル投与後に認められたものもあった。その他は、タダラフィルを投与し性行為後の数時間から数日後に報告されている。これらの症例について、タダラフィル、性行為、本来患者が有していた心血管系障害、これらの要因の組み合わせ又は他の要因に直接関連するかどうかを確定することはできない。なお、性行為を控える必要がある心血管系障害を有する患者には、タダラフィルを勃起不全治療剤として使用することは禁忌とされている。
【警告】
1. 本剤と硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意すること。[「禁忌」の項参照]
2. 死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているので、本剤投与の前に、心血管系障害の有無等を十分確認すること。[「禁忌」の項及び「副作用」の項参照]
アドシルカの適応は肺動脈性高血圧症
アドシルカは 肺動脈性肺高血圧症が適用になっています。
「作用機序」を見ると、肺血管拡張作用によって効果を発揮することが分かります。
「重要な基本的注意」には肺静脈閉塞性疾患の患者に注意が必要となっています。
アドシルカの添付文書(抜粋)
作用機序(ex vivo)
肺血管平滑筋における主要なcGMP分解酵素であるPDE5を選択的に阻害することにより、肺組織中のcGMPを有意に増加させ血管弛緩反応を発現する40)。
重要な基本的注意
(1) 肺血管拡張剤は、肺静脈閉塞性疾患を有する患者の心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。肺静脈閉塞性疾患を有する患者における有効性及び安全性は確立していないため、このような患者に対しては本剤を投与しないことが望ましい。
シアリス
シアリスはEDの薬です。血流増大によって作用を発揮する。
性行為の1時間前に服用します。心血管疾患の有無を確認する必要があります。
以下は添付文書より
【効能・効果】
勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)
作用機序
性的刺激により一酸化窒素(NO)の局所的な遊離が生じる際に、タダラフィルは、CGMP分解酵素であるPDE5を阻害することにより海綿体のCGMP濃度を上昇させる。その結果、平滑筋が弛緩し、陰茎組織への血流が増大して勃起が達成される。【用法・用量】
通常、成人には1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与する。10mgの投与で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。軽度又は中等度の肝障害のある患者では10mgを超えないこと。なお、いずれの場合も1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。
中等度又は重度の腎障害のある患者では、5mgから開始し、投与間隔は24時間以上とすること。なお、中等度の腎障害のある患者では最高用量は10mgを超えないこととし、10mgを投与する場合には投与間隔を48時間以上とすること。重度の腎障害のある患者では5mgを超えないこと。重要な基本的注意
(1)投与に際しては、勃起不全及びその基礎疾患の診断のため、既往歴の調査や諸検査を行い、客観的な診断に基づき臨床上治療が必要とされる患者に限定すること。
(2)性行為は心臓へのリスクを伴うため、また、重度勃起不全患者においては心血管系イベントの危険因子を有する割合が高いと考えられるため、勃起不全の治療を開始する前に心血管系の状態に注意をはらうこと。
用法用量の違い
適応だけでなく、用量に違いがあります。
ザルティアは2.5~5mg、アドシルカは20~40mg、シアリスは5~20mgとなっている。腎障害がある場合などは注意が必要。
いずれも1日1回の服用です。
ザルティアの用法・用量
通常、成人には1日1回タダラフィルとして5mgを経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.中等度の腎障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があること及び投与経験が限られていることから、患者の状態を観察しながら1日1回2.5mgから投与を開始するなども考慮すること。[「薬物動態」の項参照]
2.チトクロームP450 3A4(CYP3A4)を強く阻害する薬剤を投与中の患者では、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、1日1回2.5mgから投与を開始し、患者の状態を観察しながら適宜5mgへ増量すること。
(添付文書より)
アドシルカの用法・用量(添付文書より)
通常、成人には1日1回タダラフィルとして40mgを経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.軽度又は中等度の腎障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があることから、1日1回20mgを投与する。[「薬物動態」の項参照]
2.軽度又は中等度の肝障害のある患者では、本剤の投与経験は限られていることから、リスク・ベネフィットを考慮し、本剤を投与する際には1日1回20mgを投与する。
(添付文書より)
シアリスの用法・用量(添付文書より)
通常、成人には1日1回タダラフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与する。10mgの投与で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。軽度又は中等度の肝障害のある患者では10mgを超えないこと。なお、いずれの場合も1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。
中等度又は重度の腎障害のある患者では、5mgから開始し、投与間隔は24時間以上とすること。なお、中等度の腎障害のある患者では最高用量は10mgを超えないこととし、10mgを投与する場合には投与間隔を48時間以上とすること。重度の腎障害のある患者では5mgを超えないこと。
(添付文書より)
まとめ
・ザルティア錠、アドシルカ錠、シアリス錠の3剤は一般名はタダラフィル錠で、同成分の薬です。
・ザルティアは前立腺肥大の治療薬、アドシルカは肺動脈性高血圧の治療薬、シアリスはED治療薬(自費薬)です。
・用量は、ザルティアは2.5~5mg、アドシルカは20~40mg、シアリスは5~20mgです。
・腎障害がある場合などは注意が必要です。