タリージェは、2019年に発売された神経障害性疼痛治療薬です。
基本的にリリカと同じ作用機序です。
この記事では、タリージェの作用機序、リリカとの違いについて整理しています。
作用機序は、図を使用して解説しています。
神経障害性疼痛
神経障害性疼痛は、「体性感覚神経の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」と定義されています。(国際疼痛学会)
つまり、神経が傷つくことによって起こる痛みのことです。
中枢性と末梢性に分けられます。
中枢性神経障害性疼痛
脊髄損傷などが原因の神経障害性疼痛です。
末梢性神経障害性疼痛
糖尿病や帯状疱疹が原因で起こります。
糖尿病性末梢神経障害性疼痛
糖尿病の人(国内で約1000万人)の9~22%の人が神経障害性疼痛になっています。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹の人(国内で約60万人)の10~25%の人が神経障害性疼痛になっています。
正常な痛みの伝達
普段、足をぶつけたり、かゆみを感じるのは知覚神経が刺激を伝えているからです。
正常の痛みの伝達は以下の過程です。
- 知覚神経が末梢で刺激を受けます。(例えば、足をぶつけると知覚神経が刺激を受けます。)
- その刺激は、電気信号として中枢に伝えられます。
- 神経の最後のところ(シナプス)で、神経伝達物質が放出されます。
- 神経伝達物質が、次の神経に信号を伝えます。
- こうして、脳で痛みを認識します。
神経が傷つくと
神経が傷つくと、神経伝達物質が過剰に放出されます。
それより、過剰な興奮が伝達されて痛みが生じます。
シナプスを拡大すると
神経伝達には、カルシウムイオンが関係しています。
- 神経に電気信号が伝わってきます。
- 次に、神経の最後の部分(終末)にカルシウムイオンが流入します。
カルシウムイオンが流入することで、神経伝達物質が放出されます。
タリージェの作用機序
タリージェは末梢性神経障害性疼痛の治療薬として承認された薬です。
成分名は、ミロガバリンベシル酸塩です。
タリージェは、痛みを生じさせている神経伝達を抑えます。
- 神経伝達終末で、カルシウムイオンが流入するのを邪魔します。
- そのため、神経伝達物質の放出が抑えられます。
- 神経伝達物質が減ることで、痛みが抑えられます。
リリカとの共通点
タリージェはリリカと同じ作用機序の薬です。
そのほかにも、共通点の多い薬です。
主な共通点を挙げます。
作用機序
タリージェとリリカは同じ作用機序で痛みの伝達を抑えます。
用法
少しずつ増減する必要がある点が共通しています。
投与量を増やすときは、一週間以上あけて少しずつ増量します。
中止するときも、一週間以上あけて減量します。
眠気、めまい
どちらも、めまいや眠気の副作用に注意が必要です。
リリカとは適応が異なる
タリージェの適応は末梢神経障害性疼痛です。
一方、リリカの適応は神経障害性疼痛です。
リリカは末梢性にも中枢性にも使用することができます。
ほかにも、慎重投与や副作用の項目などに違いがありますが、適応の違いが最も大きく異なる点です。
まとめ
- 神経障害性疼痛は、知覚神経の過剰な興奮によるものです。
- タリージェは、神経伝達物質の過剰な放出を抑えることで効果を発揮します。
- タリージェは、作用機序や用法をはじめリリカと共通点があります。
- リリカとの大きな違いは適応で、タリージェは末梢性神経障害性疼痛のみの適応になっています。