シックデイの症状と対応の仕方【インスリンと糖尿病薬の調節】

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シックデイとは、糖尿病の方が体調不良によって食事を摂れない状態のことです。シックデイには、血糖値が乱れやすくなります。そのため、高血糖になる場合と、低血糖になる場合があります。

シックデイの時の対処法は単純ではなく医療機関の指示に従うことが大切です。この記事では、シックデイについて一般的な対応についてまとめます。

インスリンの働き

まず、インスリンの働きについて整理します。インスリンは糖を臓器に取り込むのを助ける働きがあります。食事を摂取すると、血液中の糖が増えます。つまり血糖値が上がって、糖が全身に行き渡ります。

その後、インスリンの働きで糖は体中の臓器に取り込まれます。その結果、血糖値は下がります。臓器に取り込まれた糖は臓器に蓄えられエネルギー源になります。タンパク質や細胞の原料にもなります。

インスリンの分泌が少なくなると血糖値が下がらなくなり、糖尿病になります。

 



シックデイとは

シックデイとは、糖尿病患者が体調不良によって食事を摂れない状態のことです。シックデイには、血糖値が乱れやすくなります。そのため、高血糖になる場合と、低血糖になる場合があります。ケトアシドーシスや高浸透圧症候群などの急性の合併症を起こることがあります。

 

高血糖

体調を崩すと、ステロイドホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。インスリン拮抗ホルモンはインスリンとは逆の働きをして血糖値を上げるホルモンです。

これは、体の正常な防御反応です。健康な人なら、このあとインスリンが働いて血糖値が下がります。ところが、糖尿病の場合、インスリン分泌が足りずに血糖値が下がらない状態が続いてしまいます。

 

低血糖

シックデイには低血糖になる場合もあります。体調不良のため、食事を摂れないことが原因で血糖値が下がってしまいます。糖尿の薬が効きすぎて血糖値が下がりすぎてしまうこともあります。

 



ケトアシドーシスになる理由

ケトアシドーシスは体の脂肪を消費する時に血液が酸性になる状態です。

ケトアシドーシスは糖をエネルギーとして利用できない時に起こります。糖が使えないと、体は脂肪を使うことになります。このとき血液が酸性になります。

食事が摂れず糖が足りないとケトアシドーシスになります。糖が使えないので体の脂肪を使うことになり、血液が酸性になります。

インスリンが足りないときもケトアシドーシスになります。インスリンが足りないと、糖はあっても使えなくなります。糖が使えないので体の脂肪を使うことになり、血液が酸性になります。

 

ケトアシドーシスになるのは糖を使えないときです。
・食事が摂れないと糖が足りなくなります。
・インスリンが足りないと糖を使えません。

 

脂肪を燃焼する時にケトン体ができる

脂肪を燃焼する時にケトン体ができます。

糖を利用できないと、体は脂肪をエネルギー源として利用するようになります。この時、副産物としてケトン体ができてしまいます。ケトン体が増えて、血液が酸性になった状態をケトアシドーシスと呼びます。

 

インスリンが足りないとケトアシドーシスになるので、シックデイにはインスリンを中止してはいけません。



高浸透圧症候群

高浸透圧症候群は、シックデイに血糖値が上がることで、尿の浸透圧が上がることで脱水症状に陥るものです。

血糖値が上がることで、尿の浸透圧が上がります。尿が濃くなるので、尿を薄める力が働いて、水分が移動します。尿量が増えて体は脱水状態になっていきます。つまり、糖が水分をひっぱって尿を増やしていくような状態です。

脱水状態になると、血液が濃くなり、血糖値がさらに上昇します。そのために、また尿の浸透圧が上がるという悪循環に陥っていきます。特に、発熱や下痢などで水分が不足するときに高浸透圧症候群になりやすくなります。

そのため、シックデイには水分を十分に取ることが大切です。

 



薬を調節する

糖尿病患者が体調を崩し食事を摂れなくなると、複雑な反応が体の中で起こり、血糖値が乱高下します。そして、それに伴う合併症が起きる危険があります。そのため、シックデイの時の対処法は単純ではなく医療機関の指示に従うことが大切です。

ここでは、シックデイ時の糖尿病治療薬の使用法の例を示します。実際には、医師の指示のもとに対処していくことが大切です。

 

インスリン注射

原則として使用を継続します。食事を摂れなくても中止しないことが大切です。インスリンが不足するとケトアシドーシスの危険が高まります。食事量、血糖値、ケトン体に応じて作用時間の短いインスリンを調節することがあります。

インスリン分泌促進薬

食事の摂取量に応じて調節します。診察時の状態により中止、減量の判断が必要になります。

αグルコシダーゼ阻害薬

下痢などの症状を強めてしまうことがあるため、消化器症状が強い時は中止します。中止しても大幅に血糖値が上がることはほとんどありません。

ビグアナイド薬

中止します。特に脱水時に乳酸アシドーシスになりやすくなります。

チアゾリジン薬

中止することが可能です。中止してもしばらく作用が続くため、大きな影響はありません。

DPP-4阻害薬

食事を摂れない場合は、効果が得られないと考えられます。

GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は胃腸の働きにも影響します。吐き気や腹痛などの症状がある場合は中止します。

SGLT2阻害薬

中止します。脱水やケトアシドーシスを強める恐れがあります。

 



まとめ

・シックデイとは、尿病患者が体調不良によって食事を摂れない状態のことです。

・シックデイには、インスリン拮抗ホルモンの働きが強まって高血糖になることがあります。

・体調不良のため、食事を摂れないことが原因で低血糖になることがあります。

ケトアシドーシスは、食事がとれないときや、インスリンが不足したときなど、糖をエネルギーとして利用できない時に起こります。

・高浸透圧症候群は、シックデイに血糖値が上がることで、尿の浸透圧が上がることで脱水症状に陥るものです。

・シックデイの時の対処法は単純ではなく医療機関の指示に従うことが大切です。