下痢止めは使ってはいけない?下痢止め以外に使える薬はあるの?
下痢にも様々な種類がありますが、お腹の冷えなどからくる一時的な下痢の症状には下痢止めを使用できます。
他にも、整腸剤や経口補水液も下痢には効果的です。
その一方で、下痢には様々な種類があり、早めに医療機関を受診する必要がある場合があります。
この記事では、基本的な下痢の治療とおすすめの市販薬や経口補水液についてまとめています。
下痢とは
下痢は「日に3回以上の軟便か水様便」と定義されます。一般的には、5~7日間続くことが多く、大抵は2週間ほどで自然に治ります。
下痢の原因のほとんどは、細菌やウイルスの感染です。特に、夏には細菌性の下痢、冬にはウイルス性の下痢がよく見られます。まれに重大な病気が隠れていることがあるため、血便、高熱、激しい腹痛などの症状がある場合や、下痢が長引く場合は病院を受診する必要があります。
下痢の治療
一般に自然治癒する下痢が多いため、治療も対症療法が基本です。ただし、なんらかの病気が原因の場合は、原因疾患の治療が必要になります。
お腹の冷えなどのよる一時的な下痢の場合には、市販の薬でも対応できます。
下痢止め
下痢止めは、腸の過剰なぜん動運動を抑える作用があります。軽症の下痢で、全身状態が良い場合などに一時的に使用することはできます。お腹の冷えなどによる、一時的な下痢症状に使用することができます。
一方、感染が原因の場合などには、基本的に使用しません。腸のぜん動運動を抑えることでウイルスや細菌の排出を遅らせるため、症状が長引くことがあるからです。(医師の判断で下痢止めが処方される場合はあります。)
整腸剤
ビフィズス菌などの善玉菌を配合する薬も効果的です。腸内細菌の働きを正常に戻すのを助けますすけます。すぐに下痢を止めることはありませんが、下痢の期間を短くするとされています。
経口補水液
下痢によって、腸からの水分吸収が悪くなるために脱水症になることがあります。そのため、水分を補給する必要があります。特に、軽度から中等度の脱水で、軽い吐き気や嘔吐がある場合に、経口補水液が推奨されます。
経口補水液は、下痢の際の水分補給に効果的です。水とNaと糖の比率を、最も効率よく吸収される比率に調整してあります。大人の場合はOS-1、小児の場合はアクアライトORSがおすすめです。*経口補水液について詳しくはこちらをご覧ください。
過敏性腸症候群による下痢
過敏性腸症候群による下痢に使用できる薬も市販されています。過敏性腸症候群は、検査を行っても、炎症や潰瘍などの異常が見られないにもかかわらず、腹痛等の消化器症状があらわれる病気です。便秘が主な症状の場合と、下痢が主な症状の場合などがあります。*過敏性腸症候群について詳しくはこちらをご覧ください。
セレキノンSは過敏性腸症候群に使用できる市販薬です。セレキノンの成分トリメブチンは、消化管運動が活発な時には抑制し、消化管運動が低下している時には活発化するという二面的な作用があります。腸の運動が過剰になっているときには、平滑筋の細胞に作用して腸の運動を抑えます。
まとめ
・下痢止めは、腸の過剰なぜん動運動を抑える作用があります。市販の下痢止めは、お腹の冷えなどによる一時的な下痢症状に使用することができます。
・整腸剤は、腸内細菌の働きを正常に戻すのを助けることで、下痢の期間を短くします。
・経口補水液は、下痢の際の水分補給に効果的です。
・セレキノンSは過敏性腸症候群に使用できる市販薬で、腸の運動が過剰になっているときに、腸の運動を抑えます。
参考資料:日本プライマリ・ケア連合会誌2012,vol.35,no.1p56-65、ロペミン添付文書、大腸・肛門の病気について|日本大腸肛門病学会