病院で処方される鉄剤には、フェロミア、フェロ・グラデュメット、フェルムなどがあります。
鉄剤は吐き気の副作用が出ることがありますが、吐き気が出にくくなるよう工夫されています。
鉄剤Aで吐き気が出ても鉄剤Bでは吐き気が出ないことがあります。人によっては、その反対ということもあります。お医者さんと相談しながら、自分に合った鉄剤を見つけましょう。
・どの鉄剤も吐き気が出にくいように工夫されているので、自分に合った鉄剤を見つけましょう。
この記事では、おもな鉄剤の特徴について解説します。
よく処方される鉄剤は?
日経DIのアンケート調査では、一番処方されている鉄剤はフェロミアです。フェロミアが7割を占めています。二番目に処方されているのはフェロ・グラデュメット、三番目がフェルムです。どの鉄剤でも吐き気が出ることがありますが、それぞれに副作用を減らす工夫がされています。
ここからは、よく処方される三つの鉄剤-フェロミア、フェロ・グラデュメット、フェルムの特徴を解説していきます。
フェロミア
フェロミアのメリットは、食後でも服用できることです。
*フェロミアの成分はクエン酸第一鉄です。1錠で50gの鉄を摂取できます。
フェロミアは食後に服用しても吸収されることがメリットです。空腹時に服用しても吸収はされます。いつ服用してもOKな薬です。
吐き気を減らす仕組み
フェロミアの吐き気の頻度は約5%です。
①食後に服用することで吐き気を軽減
鉄剤の吐き気を減らすには、食後に服用することが有効です。フェロミアは食後でも効果が落ちないので、吐き気を減らすことができます。
②鉄イオンにならない
鉄はイオン型になると胃腸を刺激します。フェロミアに配合されているクエン酸第一鉄は、イオン型にならないので胃腸を刺激しません。
フェロ・グラデュメット
フェロ・グラデュメットは寝る前に服用するのがベストです。
*フェロ・グラデュメットの成分は、乾燥硫酸鉄といいます。1錠で105gの鉄を摂取できます。
フェロ・グラデュメットは、空腹時に服用するのが基本です。吐き気を感じにくい寝る前に処方されることが多くあります。空腹時に服用しても吐き気が出てしまった場合は、食後に服用することもできます。(食後の場合は、吸収が悪くなるので効果が弱くなります。)
吐き気を減らす仕組み
フェロ・グラデュメットの吐き気の頻度は約2.8%です。
・鉄が少しずつ溶ける
フェロ・グラデュメットは除法性製剤です。鉄が少しずつ溶けるので、刺激が弱くなって吐き気が軽くなります。
フェルム
1日1回1カプセルで、効率よく鉄を摂取できる
*フェルムの成分はフマル酸第一鉄といいます。1カプセルで100gの鉄を摂取できます。
フマル酸第一鉄は、鉄の利用率が良くて効率的に鉄を摂取できます。
吐き気を減らす仕組み
フェルムの吐き気の頻度は約1.3%です。
・鉄が少しずつ溶ける
フェルムも除法性製剤です。徐放性の顆粒がカプセルの中に入っています。鉄が少しずつ溶けるので、刺激が弱くなって吐き気が軽くなります。1日1回で鉄の血中濃度が持続します。
自分に合った鉄剤を見つけましょう
ここまで読んでいただいて、どの鉄剤も工夫されていることが分かったと思います。どの鉄剤で吐き気が出て気持ち悪くなるかは個人差があります。
4フェロミアが一番使用されているのは、いつ飲んでも良いというメリットがあるからと思われます。まずは使いやすいフェロミアを処方して様子を見るというパターンが多くあります。フェロミアで吐き気が出た場合に、フェロ・グラデュメットやフェルムに変えてみるということがよくあります。フェロミアの方が吐き気が出にくいということもあります。
どれが一番副作用が出にくいとは言い切れませんので、お医者さんと相談しながら自分に合った鉄剤を見つけましょう。
市販の鉄剤
含有量が少なくなりますが、市販薬やサプリメントでも鉄を配合したものがあります。病院での治療が必要なほどではないけど、貧血気味の方や妊娠を考えている方は市販の鉄剤やサプリメントもおすすめです。もちろん普段の食事から鉄分を摂るようにしましょう。
まとめ
・よく処方される鉄剤は、フェロミア、フェロ・グラデュメット、フェルムです。
・鉄剤の副作用で吐き気が出ることがあります。
・どの鉄剤も吐き気が出にくいように工夫されているので、自分に合った鉄剤を見つけましょう。
参考資料:フェロミアインタビューフォーム、フェロ・グラデュメットインタビューフォーム、フェルムインタビューフォーム