子供の熱や、インフルエンザの時にも使えます。
・ロキソプロフェンなど、良く使用される解熱鎮痛薬の大半が非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)に分類されます。
・NSAIDsはプロスタグランジンがつくられるのを邪魔することで、効果を発揮します。
・NSAIDsは、胃の痛みや喘息発作に注意が必要です。
・アセトアミノフェンはCOX阻害作用が弱く、抗炎症作用がほとんどないためNSAIDsとは区別されます。
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アセトアミノフェンとは
アセトアミノフェンは、小児から服用できる解熱鎮痛薬です。医療用ではカロナール、市販薬ではタイレノールなどに配合されています。小児から服用できる総合感冒薬にも配合されていることが多いです。
他の解熱鎮痛薬(NSAIDs)と違い、インフルエンザの時にも服用できます。その理由は作用機序の違いによります。
一般的な解熱鎮痛薬はNSAIDs(エヌセイズ)
一般的な解熱鎮痛薬はNSAIDs(エヌセイズ)ですが、アセトアミノフェンは、NSAIDsではありません。
NSAIDsとは、非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug)のことです。“エヌセイズ“と発音します。よく使用される解熱鎮痛薬の多くがNSAIDsに分類されます。
市販されているNSAIDsの主なものは以下の通りです。
・ロキソプロフェン
・アスピリン
・イブプロフェン
・エテンザミド
・シソプロピルアンチピリン
・ジクロフェナク
・インドメタシン
・フェルビナク
NSAIDsの作用機序
NSAIDsは、体の中でプロスタグランジンという物質がつくられるのを邪魔します。プロスタグランジンは痛みや炎症を強める働きがあるため、プロスタグランジンが減ると痛みや炎症が治まります。
ここで鍵になるのがシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素です。COXは、アラキドン酸をプロスタグランジンに変換する働きがあります。プロスタグランジンの原料がアラキドン酸ということです。
NSAIDsはCOXの働きを邪魔して、プロスタグランジンがつくられる量を減らします。プロスタグランジンが減るので、痛みや炎症が抑えられます。
胃が痛くなるのはなぜか
プロスタグランジンには様々な働きがあります。その一つが、胃を守る働き です。プロスタグランジンには、胃の粘膜を増強作用があります。それによって、胃の粘膜を胃酸から守っています。
NSAIDsを服用すると、プロスタグランジンが減ります。プロスタグランジンが減って胃を保護する機能が弱まりために、胃の痛みなどの副作用が生じてしまうのです。
NSAIDs過敏症とは
NSAIDsはNSAIDs過敏症という副作用に注意が必要です。喘息発作や蕁麻疹が出ることがあります。
NSAIDsの副作用の一つに、NSAIDs過敏症があります。以前は、アスピリン喘息と呼ばれていました。現在では、NSAIDsによって起こる喘息発作や蕁麻疹のことをまとめて、NSAIDs過敏症といいます。大抵は、服用後30分から数時間以内に発症します。
NSAIDs過敏症の発症機序
NSAIDsの服用で喘息発作が起こるのは、ロイコトリエンという物質が増えるためと考えられています。これには、アラキドン酸の代謝経路が関係しています。
アラキドン酸は3つの経路で代謝されますが、COXを阻害すると一つの経路が塞がれたことになります。そのため、ほかの経路で代謝されやすくなります。その一つが、ロイコトリエンをつくる経路なのです。
COXが阻害されることで、ロイコトリエンが増えてしまうわけです。
インフルエンザ脳症に注意
NSAIDsは、インフルエンザの時に服用するとインフルエンザ脳症のリスクが上がります。NSAIDsによって炎症サイトカインが増加するので、インフルエンザ感染時は浮腫や細胞の機能不全が起こりやすなるためです。
安全策としてNSAIDs全般を避けるという考え方が一般的です。インフルエンザの疑いがある場合は、NSAIDsに属さないアセトアミノフェンを服用することが推奨されています。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
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インフルエンザ脳症の原因とは?【ロキソニンは飲んではいけない?】
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アセトアミノフェンはNSAIDsではない
アセトアミノフェンはNSAIDsには分類されません。COXを阻害する作用が弱く、抗炎症作用がほとんどありません。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなど、一般に使用される解熱鎮痛薬は大半がNSAIDsに分類されます。ところが、アセトアミノフェンはNSAIDsには分類されません。(アセトアミノフェンもNSAIDsとして記載している文献などもありますが、厳密にはNSAIDsとは区別されます。)
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで抗炎症作用を発揮します。それに対して、アセトアミノフェンは、COXを阻害する作用が弱く、抗炎症作用がほとんどありません。“炎症作用がほとんどない“という点がNSAIDsとの違いです。
抗炎症作用はほとんどありませんが、解熱鎮痛作用は持っています。
このようにNSAIDsの作用機序とは異なるため、インフルエンザの疑いがある場合にも服用できます。
アセトアミノフェンの作用機序
COX阻害作用がないのであれば、どんな作用機序で解熱鎮痛作用を発揮するのでしょうか。
鎮痛作用~痛みのブレーキをかける
人間の体には、痛みを伝える神経があります。一方で、痛みを伝える神経の働きを抑える神経があります。(下行性抑制系といいます。)痛みの伝達にブレーキをかける神経です。
アセトアミノフェンは、痛みの伝達にブレーキをかける神経を強める働きがあると考えられています。
解熱作用~体温調節中枢
脳の体温調節中枢に作用すると考えられています。それにより、血管を広げて体温を下げるように働くと考えられます。
まとめ
・ロキソプロフェンなど、良く使用される解熱鎮痛薬の大半が非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)に分類されます。
・NSAIDsはプロスタグランジンがつくられるのを邪魔することで、効果を発揮します。
・NSAIDsは、胃の痛みや喘息発作に注意が必要です。
・アセトアミノフェンはCOX阻害作用が弱く、抗炎症作用がほとんどないためNSAIDsとは区別されます。
参考資料:「NSAIDsとアセトアミノフェン」(日本ペインクリニック学会)