ステロイド点鼻薬は、欧米では最初に使う鼻炎薬です。鼻炎の原因である炎症を抑えるので効果的なんです。しかも、ステロイド点鼻薬は体への影響がほとんどありません。
市販のステロイド点鼻薬にはナザールARα、コンタック鼻炎スプレー、フルナーゼ点鼻液などがあります。
鼻炎症状の原因は鼻の奥の炎症
鼻アレルギーの症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。つらい症状をなんとかしたい、と思うものです。実は、鼻アレルギーの症状は、鼻からのどのあたり(上気道)で炎症が起こってから生じています。
次のような順序で鼻炎が起こっているということです。
2.その結果、鼻からのどのあたりの粘膜で炎症が起こります。
3.炎症が生じたために、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状が出てきます。
原因が鼻の奥で起きている炎症なので、鼻の炎症を抑える薬が効果的です。そこで、ステロイド点鼻薬が効果的です。欧米では最初に使うのがステロイド点鼻薬です。鼻炎の薬というと、最初は抗ヒスタミン薬などの飲み薬を服用するイメージがありますが、ステロイド点鼻薬は非常に効果的なんです。日本でも積極的に処方されていて、内服薬を服用せずステロイド点鼻薬だけで治療することもあります。
ステロイド点鼻薬の効果は?
上述の通り、鼻炎症状が出る前に鼻からのどに炎症が広がっています。ステロイド点鼻薬は、鼻炎の原因となっている炎症を抑える薬です。
2.血管内皮細胞や分泌細胞にも作用して、鼻の粘膜の腫れを抑えます。
このように多彩な作用があることから、とても効果の高い薬です。
でも、ステロイド点鼻薬は即効性のある薬ではありません。1~2日で効果が表れる場合がありますが、効果には個人差があります。ステロイド点鼻薬は、鼻炎症状の原因となっている炎症を抑える薬です。原因を抑える薬なので、すぐに効果が表れなくても継続して使用していく事で確実に効果を発揮します。症状が落ち着いたからといって使用をやめないようにしましょう。
体への影響はほとんどない
”ステロイド”と聞くと、副作用を心配される方が多いと思います。でも、ステロイド点鼻薬はあまり副作用の心配が要りません。その理由は、ほとんど鼻でしか作用しないからです。少量を鼻の局所に使用するので、体への影響はほぼありません。大量に長期間使用すれば全身に影響が出ますので、用法用量を守ることが大切です。局所の副作用として鼻血が出ることがあります。鼻血を繰り返す場合は使用できません。
ナゾネックス点鼻液
ナゾネックス点鼻液のバイオアベイラビリティは0.2%とです。つまり血液中にほとんど入らないので、体への影響はほとんどありません。
フルナーゼ点鼻液
フルナーゼ点鼻液は、点鼻した後の血中濃度は検出限界(50pg/mL)以下でした。つまりほとんど血液中に移行しないので、体への影響もほとんどありません。
アラミスト点鼻液
アラミスト点鼻液は、フルナーゼ点鼻液を改良した薬です。フルナーゼよりも長時間とどまるため、フルナーゼが1日2回なのにたいして、アラミストは1日1回の用法になっています。
アラミスト点鼻液もほとんど体に影響しません。バイオアベイラビリティ(生物学的利用率)は平均0.50%でした。つまり、全身に回るのが、0.5%程度です。
ナザールAR
ナザールARに配合されているのはベクロメタゾンというステロイドです。ベクロメタゾンは鼻で効果を発揮した後、副作用が起こりにくい形に変化する性質を持ちます。そのため、全身への影響が少なくなっています。このような薬のことをアンテドラッグといいます。
市販のステロイド点鼻薬には、血管収縮薬を配合している場合があるので注意が必要です。血管収縮薬の使用はあまりおすすめできません。血管収縮薬についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
ステロイド点鼻薬は鼻炎の原因である炎症を抑えるので効果的なので、鼻炎の初期から効果的です。
早くから効果が出ることもありますが、継続的に使用することが大切です。
ナゾネックス点鼻液、フルナーゼ点鼻液、アラミスト点鼻液は、ほとんど血液に移行しないので体への影響はほとんどありません。
ナザールAR、コンタック鼻炎スプレーは、血液に移行しますが体に影響しない形に変化するので体への影響が少なくなっています。
参考資料:アラミスト点鼻液インタビューフォーム、フルナーゼ点鼻液インタビューフォーム、ナザールARα添付文書